自民党青年局近畿ブロックに関する社説・コラム(2024年3月12日)

相次ぐ不祥事 政権の緩みが極まった(2024年3月12日『東京新聞』-「社説」)
 
 自民党派閥の裏金事件に厳しい視線が注がれる中、党所属議員の不祥事が相次いで発覚した。自民党政権の長期化が国民代表としての緊張感や責任感の欠如を生んだと言わざるを得ない。議員たる資格があるのか、自問すべきだ。
 昨年11月に和歌山市内のホテルで開いた党青年局近畿ブロック会議後の懇親会に、露出度の高い衣装の女性ダンサーが複数招かれていたことが明らかになった。
 
 
 若手の国会・地方議員が参加し、このうち藤原崇青年局長(衆院岩手3区)、中曽根康隆局長代理(同群馬1区)=写真=は辞任。懇親会を企画した和歌山県議は離党した。
 党本部や県連が費用を負担する会合としては耳を疑う内容だ。裏金問題に批判が強まりつつあった時期でもあった。こうした催しは中止すべきだと誰も指摘しなかったのだろうか。
 党本部の梶山弘志幹事長代行は懇親会に公費は支出されていないと強調したが、同県連も党本部を介して税金を財源とする政党交付金を受け取っている。カネに色は付いておらず、議員が税金で羽目を外したとの非難は免れまい。
 自民党本部の収入は例年6~7割を政党交付金が占める。党本部の活動の多くが税金で賄われているとの認識を欠く議員がいるのなら、党は初歩的な段階から議員教育をやり直さねばなるまい。
 広瀬めぐみ参院議員(岩手選挙区)は「週刊新潮」に報じられた不倫関係を認め、謝罪した。こちらも有権者の信頼を裏切る無責任な行為にほかならない。
 裏金事件に限らず、自民党で不祥事が続く背景には、国政選挙での勝利が続き、政権転落の心配はないとの慢心があるのだろう。裏金の実態解明も進まず、岸田文雄首相が明言した関係議員の処分も先延ばしになっている。
 共同通信の最新世論調査で、岸田内閣の支持率は20・1%と過去最低を更新し、自民党の支持率も24・5%に続落した。政権の緩みは極まり、もはや国政選挙での勝利を確信できる状況ではない。
 有権者と誠実に向き合い、自ら身を律することができないのであれば、政権を担う資格はないと心得るべきである。
 

セクシーダンス懇親会「公費出ていない」と言うが…(2024年3月12日『日刊スポーツ』-「政界地獄耳」)

★やはり自民党の倫理観がずれているのではないか。党の女性局長・松川るい今井絵理子らが昨年7月、パリに38人の大視察団を編成したものの、多くの議員が観光気分の写真をネットにアップし大きく批判された。その事態に松川は辞任。ネットでは松川をエッフェル姉さんと呼ぶまでの騒ぎに。また同視察で観光気分を満喫していた、22年の参院選岩手選挙区で初当選した広瀬めぐみは不倫騒動が報じられたばかり。こちらは「チョメ姉さん」と呼ばれているそうだ。

★昨年11月18日と言えば、東京地検特捜部が安倍派などの事務方の任意聴取を進めていると報じられた日。党本部青年局の国会議員や近畿2府4県の若手地方議員、党関係者ら約50人が参加した青年局近畿ブロック会議後の懇親会という名の、らんちき騒ぎを多くのメディアは「過激なダンスショー」とか「セクシーダンス懇親会」などとおとなしい表現だが、実態は参加者が下着姿のダンサーに口移しでチップを渡したりとやり放題。参加していた藤原崇(衆院岩手3区)、中曽根康隆(群馬1区)両衆院議員が党青年局の役職をいずれも辞任。前参院幹事長・世耕弘成の元秘書で自民党和歌山県連青年局長としてこの懇親会を企画した県議の川畑哲哉は「本年度(の懇親会)は多様性、ダイバーシティーというところをしっかりとテーマに」としていたが11日、離党届を提出した。

★8日、自民党幹事長代行・梶山弘志は「費用については、公費は出ていないということだけは確認できております」としたが、政治活動費は全くのブラックボックスで、その確認をする証明などできないはず。結局自民党は、東京地検にさえ捕まらなければ、政治的責任も道義的責任もあると言うものの、実態はないと考えているのだろう。高い倫理観も順法精神も持ち合わせない政治家を選んだ国民も、倫理観などないと思われる。梶山の対応でこの党が変わらないことがよく分かった。(K)