国公立大志願者数ランク 大阪公立大3年連続首位、2位千葉大、3位神戸大、横国大は減少(2024年3月3日『産経新聞』)

新・親も知らない今どき入試

今週は、2024年度の国公立大一般選抜の志願者数をまとめた、国公立大志願者数ランクをお届けする。

24年度入試は、18歳人口の減少幅が大きく約3・4万人減。さらに、翌年からの新課程入試を控え、受験生の安全志向の強まりが予想されたため、国公立大志願者は減少してもおかしくなかった。しかし実際は、大学入学共通テストの平均点アップもあり、前年を80人上回る、42万3260人となった(独自日程で選抜する国際教養大などを除く)。

個別大学の出願状況に注目すると、旧帝大東京工業大、一橋大、神戸大を加えた難関国立10大学全体の志願者も前年を上回っており、受験生の安全志向は感じられない。大学別に見た志願者数は、東北大、東大、一橋大、名古屋大、京大、神戸大、九州大で増えている。

国公立大志願者数ランクの1位は大阪公立大だった。大阪市立大と大阪府立大の統合により誕生した大学であり、大阪大、東京大に次ぐ、国公立大で3番目の定員規模を誇る大学だ。2年連続で志願者が増えており、22年に統合して以降、3年連続で志願者数ランキングのトップをキープしている。

2位は大阪公立大が開設する以前、1位が定位置だった千葉大。昨年、志願者が減少した反動もあり、24年度は増加に転じた。3位の神戸大も同様に隔年現象で志願者が増えている。対照的に4位の北海道大は、昨年の志願者増の反動で減少した。

5位は東大。4位までの大学が後期日程を実施しているのに対し、東大は16年度から後期日程を廃止し学校推薦型選抜を実施しているため、一般選抜の志願者数ランキングでは不利だが、最難関大としての存在感を示している。ただ、科類別の志願状況に注目すると、6科類中、文Ⅰ、文Ⅱ、理Ⅱ、理Ⅲの4科類で減少。中でも文Ⅰと文Ⅱは、志願者が想定数を超えたときに行われる第一段階選抜がなかった。文Ⅰと文Ⅱがそろって行わなかったのは、16年度以来のことだ。

6位の横浜国立大は、昨年2000人以上志願者が増えた反動から減少。昨年志願者が増えたのは、神奈川県横浜市にある同大の最寄り駅に東京からの路線が乗り入れたことにある。東京の受験生がアクセスしやすくなったことが大きな要因だ。24年度は志願者が減少したとはいえ、昨年の増加分より減少幅は小さい。相変わらず東京の受験生が横浜国立大に向いているからか、12位の東京都立大(6455人)は、2年連続の志願者減となっている。

7位は昨年の志願者増の反動なく2年連続で増えている京大。以下、8位九州大、9位大阪大と旧帝大が続く。旧帝大の中で志願者の増加率が最も大きいのは、18位の東北大(5702人)。東大や京大を抑え、世界最高水準の研究大学を作るために創設された、10兆円規模の大学ファンドの支援候補になったことが背景にありそうだ。(大学通信・井沢秀)

 

井沢秀
いざわ・しげる 大学通信情報調査・編集部部長。1964年2月6日、神奈川県生まれ。明治大学卒業後、受験情報・分析を主力事業とする大学通信入社。大学の入り口(入試)から出口(就職)まで、情報を収集し発信中。中高・大学受験の案内書・情報誌を編集するほか、新聞社系週刊誌、経済誌などへの情報提供と記事執筆を行う。