60歳代で「貯蓄2000万円」をクリアしました!定年退職後は貯蓄と年金で生活できますよね?(2024年3月3日)

●【60歳代】二人以上世帯の金融資産保有額:中央値700万円
※金融資産を保有していない世帯を含む

 ・平均:1819万円
 ・中央値:700万円
60歳代二人以上世帯の貯蓄額は、上記のとおり平均と中央値で大きな差が開いています。

平均は貯蓄額の大きい世帯により引き上げられていることがうかがえます。

一方で、中央値とはデータを小さい順に並べたときに真ん中にくる数字のことですので、中央値が「より実態に近い数値」と考えてよいでしょう。

60歳代の貯蓄額の中央値は700万円という結果ですが、この数字は安心して老後を過ごすために十分な金額といえるでしょうか。

60歳代はこれから老後生活を迎える世帯と、すでに老後生活がスタートしている世帯が混在する世代ですが、貯蓄事情は世帯によって差があります。

ここからは、金融資産保有額ごとの人数割合で「老後2000万円問題」をクリアしている世帯がどれくらいいるのか見てみましょう。

●【60歳代】二人以上世帯の金融資産保有額ごとの人数割合
 ・金融資産非保有:20.8%
 ・100万円未満:6.1%
 ・100~200万円未満:5.5%
 ・200~300万円未満:3.3%
 ・300~400万円未満:3.2%
 ・400~500万円未満:3.4%
 ・500~700万円未満:5.3%
 ・700~1000万円未満:6.1%
 ・1000~1500万円未満:8.6%
 ・1500~2000万円未満:5.7%
 ・2000~3000万円未満:8.8%
 ・3000万円以上:20.3%
 ・無回答:2.9%
過去に話題となった「老後2000万円問題」の、2000万円をクリアする世帯は29.1%、約3割となりました。

ただし「貯蓄ゼロ」が約2割、「貯蓄3000万円以上」も約2割と、貯蓄額が二極化しているのが見てとれます。

60歳代にはこれから定年退職を迎えて、退職金を受け取る世帯もいます。そうなると一気に貯蓄額が増加することが考えられます。

60歳代の貯蓄額がわかったところで、次は老後収入の柱となる年金額を確認してみましょう。

 

60歳代の「国民年金&厚生年金」の平均受給額一覧!みんなはいくらもらってる?


厚生労働省が公表した「令和4年度厚生年金・国民年金事業の概況」によると、60歳代の年金受給額の平均は以下の通りです。

国民年金の平均受給額(月額)
 ・60歳:4万2616円
 ・61歳:4万420円
 ・62歳:4万2513円
 ・63歳:4万3711円
 ・64歳:4万4352円
 ・65歳:5万8070円
 ・66歳:5万8012円
 ・67歳:5万7924円
 ・68歳:5万7722円
 ・69歳:5万7515円
※64歳未満の国民年金の受給権者は、繰上げ支給を選択した者

●厚生年金の平均受給額(月額)
 ・60歳:9万4853円
 ・61歳:9万1675円
 ・62歳:6万1942円
 ・63歳:6万4514円
 ・64歳:7万9536円
 ・65歳:14万3504円
 ・66歳:14万6891円
 ・67歳:14万5757円
 ・68歳:14万3898円
 ・69歳:14万1881円
国民年金(基礎年金)の月額を含む

※65歳未満の厚生年金保険の受給権者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引上げにより、主に定額部分のない、報酬比例部分のみの者

老齢年金の受給開始年齢(原則)となる65歳以降の年金額を見ると、国民年金は5万円台、厚生年金は14万円台となりました。

なお、こちらの年金額は税金や保険料が天引きされる前の額面です。

ここから所得税や住民税、健康保険料、介護保険料などが天引きされるため手取り額は8~9割程度となるでしょう。

年金受給額は加入期間や働き方によって異なることから、一度ご自身の年金見込額を「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認してみるのがおすすめです。

年金受給額を現在の生活費と照らし合わせてみて、老後の生活をより具体的にイメージしてみることも大切です。

 

まとめにかえて


今回は60歳代の貯蓄額と年金額を確認してきました。60歳代の約3割が「貯蓄2000万円以上」という結果になりました。

ただし、貯蓄と年金だけに頼って老後生活を過ごしていけるかどうかは疑問なところです。

物価上昇も続くなか、将来的には2000万円というお金の価値が変わっている可能性も十分にあります。

ご自身の老後について考えたときに資金計画に少しでも不安を感じる方は、早めの資金準備を意識して動きましょう。

2024年からスタートした新NISAやiDeCoなどを活用して、無理のない資金計画を進めておくと安心です。

参考資料
 ・金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」
 ・厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

中本 智恵

 

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