「彼女は恩義や仁義から最も遠い人……」長年の友人、元部下、ジャーナリスト……小池百合子都知事を深く知る3人による緊急座談会を開催(2024年5月9日『文春オンライン』)

 
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 元都民ファーストの会事務総長で小池百合子都知事の側近だった小島敏郎氏が、彼女の学歴詐称工作を告発した手記が 「文藝春秋」5月号 に掲載されると、世間には瞬く間に波紋が広がった。4月28日投開票の衆院東京15区補選では、小池氏が支援した乙武洋匡候補が落選。7月に行われる都知事選への影響も少なくないと注目されている。
 そんな中、「文藝春秋」6月号では、小池氏を深く知る3人に集まってもらい、「 『カイロ大学卒』小池百合子都知事の真贋 」と題する緊急座談会を行った。その3人とは、政治ジャーナリストの田﨑史郎氏、元東京都庁職員の澤章氏、ザ・アール創業者の奥谷禮子氏だ。
普通の人とは次元の異なる感覚の持ち主
〈田﨑 私は小島氏の手記を読んで、非常に信憑性が高いと感じました。政治家と違って官僚は、事実に基づいて正確に記録する訓練を受けている。環境省の幹部だった小島氏は、まさにその典型です。自分の言動と小池さんの言動、さらには記事に出てくる元ジャーナリストのA氏や千代田区長(当時・都議)らの言動が、きちんと整理されていて、「限りなく事実に近いな」と一読して感心しました。
 奥谷 でも、小池さん自身は学歴詐称疑惑について、何も気にしていないと思いますよ。彼女とは、かれこれ40年近くの付き合いで、「親友」ではないけれど、「友人」ではあると思う。彼女の性格や考え方を知っていますが、小池さんはいつも、その場の「ノリ」で、何が「ウケる」かを考えている人。普通の人とは次元の異なる感覚の持ち主ですから、学歴詐称疑惑で騒がれても、「そんなに大変なことなの?」という程度の認識でしょう〉
「あなた1回くらいやりなさいよ!」
 奥谷氏は、エジプト留学から帰国して間もない小池氏を財界人から紹介されて以来、40年近く交流を続けてきた。座談会では奥谷氏が小池氏のことを深く知るがゆえに、厳しい評価を下す場面もあった。
〈奥谷 彼女は恩義や仁義といった言葉から、最も遠い人です。そこを理解しないといけない。
 30年以上、小池さんと財界人を交えた読書会をやっています。オリックス元会長の宮内義彦さんや、トヨタ元社長の奥田碩さんなども参加していらした。食事をしながら課題の本について議論をするのですが、持ち回りで幹事役をやって、会場の手配や支払いをするんです。ところが、彼女は幹事役を一切やろうとしない。さすがに私が「あなた1回くらいやりなさいよ!」と言って、ようやく昨年、初めて幹事をしましたよ。彼女がやらなくても、周囲の男性陣は優しいから何も言わない。普通は「申し訳ない」とか、恩義を感じるものだけど、彼女は平然としているんですね〉
 1年間で30人もの都庁職員が退職
 その後、小池氏の政治家としての手腕に話題が及ぶと、奥谷氏は次のように論評した。
 
〈(小池氏は)人を裏切るし、国家観もないけど、他の女性政治家に比べれば、小池さんの方が相対的によく見える〉
 だが、かつて小池氏に仕えていた澤氏は、そんな奥谷氏の意見に真っ向から反論する。
〈澤 しかし、都庁OBとしては、この先も小池さんが都知事の座にしがみつくことは、最悪の展開だと思っています。現役の職員たちもそれを一番危惧しているでしょう。(中略)「空飛ぶクルマ」の開発や、「江戸の文化を世界遺産にする」といった実現性のない政策ばかりを掲げ、思いつきの無理難題に有能な職員や、多額の予算が注ぎ込まれています。そのせいか、知事直轄の政策企画局では、この1年の間に約30人もの職員が退職している。職員たちの間では「小池知事が続く間は、本庁にいたくない。出先機関で身の安全を確保したい」と囁かれています〉
 白熱した議論は続き、彼女が「総理の器」であるか否かをめぐる評価から、2017年の衆院選で小池氏が「希望の党」を立ち上げた際の知られざるエピソードに至るまで、話題は多岐に及んだ。その全文は「文藝春秋」6月号(5月10日発売)及び「 文藝春秋 電子版 」(5月9日先行公開)に掲載されている。
 
「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2024年6月号
 
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