「地域の医師会のボスが税務署と交渉して税額を決めている」「企業は(債権者用、税務署用、経営者用など)複数の帳簿をつけている」。そんな手紙を米国の家族に送ったのは戦後、税制使節団を引き連れて来日した米経済学者のシャウプ博士だ
▲1949年の「シャウプ勧告」は「租税制度は納税者が公平と認めるものでなければならない」と強調した。さすがに博士が記した戦前からの慣行は消えたろうが、税の不公平感はなくならない
▲クロヨン(9・6・4)やトーゴーサン(10・5・3)など職業による課税所得捕捉率の格差が指摘されて久しい。その後にピン(1)がつくこともある。政治家はもっとひどいというわけだ
▲「やはり」と不信を深めたのが自民党派閥の裏金問題ではないか。使途不明でも課税されない不条理。一般納税者への税務署の厳格なチェックを考えれば、SNSに「確定申告ボイコット」のハッシュタグがあふれるのは当然である
▲岸田文雄首相は「国民の厳しい目を強く感じている」と答弁しながら、政治倫理審査会の公開に消極的な自民党への指示が遅れた。「国民に向けて説明する大変重要な場」(首相)が茶番に終わっては政治不信が高まるだけだろう
▲小紙の世論調査で問題の議員への国税当局の調査を求める声が9割を超えた。315億円の政党交付金のうち約半分が自民党に渡る。無論、財源は税金だ。「鈍感力」でやり過ごそうとするならいつ「納税者の反乱」が起きてもおかしくない。