「宝塚、姉の命を何だと思っている」 死亡劇団員の妹が“訴え”(2024年2月27日『毎日新聞』)

宝塚大劇場=兵庫県宝塚市で2023年11月14日午後6時47分、長谷川直亮撮影拡大
宝塚大劇場兵庫県宝塚市で2023年11月14日午後6時47分、長谷川直亮撮影

 宝塚歌劇団の劇団員の女性(当時25歳)が昨年9月に死亡した問題で、遺族は27日、「訴え」と題したコメントを発表した。発表した遺族は、女性の妹で現役の歌劇団員。全文は次の通り。

   ◇

 私は遺族として、大切な姉のため、今、宝塚歌劇団に在団している者として想(おも)いを述べます。

 いくら指導という言葉に置き換えようとしても、置き換えられない行為。それがパワハラです。

 劇団員は宝塚歌劇団が作成した【パワーハラスメントは一切行わない】という誓約書にサインしています。

 それにもかかわらず、宝塚歌劇団は、日常的にパワハラをしている人が当たり前にいる世界です。

 その世界に今まで在籍してきた私から見ても、姉が受けたパワハラの内容は、そんなレベルとは比べものにならない悪質で強烈に酷い行為です。

 厚生労働省パワハラの定義を見れば、姉が受けた行為は、パワハラ以外の何ものでもありません。

 宝塚は治外法権の場所ではありません。宝塚だから許される事など一つもないのです。

 劇団は今に至ってもなお、パワハラをおこなった者の言い分のみを聞き、第三者の証言を無視しているのは納得がいきません。

 劇団は、生徒を守ることを大義名分のようにして、パワハラを行った者を擁護していますが、それならば、目撃したパワハラを証言してくれた方々も、姉も同じ生徒ではないのですか。

 そもそも【生徒】という言葉で曖昧にしていますが、パワハラを行った者は、れっきとした社会人であり、宝塚歌劇団は一つの企業です。

 企業として、公平な立場で事実に向き合うべきです。

 スケジュール改革や、各種改善策に取り組んでいるような発表をしていますが、姉の死を軽視し、問題を曖昧化しているとしか思えません。

 これ以上姉と私たち遺族を苦しめないでください。

 姉は体調を崩している訳でも、入院している訳でもありません。

 二度と帰ってきません。

 姉の命の重さを何だと思っているのでしょうか。

 劇団は、「誠意を持って」「真摯(しんし)に」という言葉を繰り返して、世間にアピールしていますが、実際には、現在も遺族に誠意を持って対応しているとは思えません。

 これ以上無駄に時間を引き伸ばさないでください。

 大切な姉の命に向き合ってください。