十年一日のごとく(2024年2月27日『中国新聞』-「天風録」)

 所得の申告漏れが疑われる自民党議員の名と額を並べ、野党議員が国会でただす。「国民には実際わずかな収入でも税金を取っているんですよ。議員も納税の義務を尽くすべきであり、それが政治への信頼を取り戻すことになる」

▲きのうの衆院予算委員会で見た光景ではない。質問者は、政界浄化に尽くした故市川房枝参院議員。国会議事録に残る1967年のやりとりである。十年一日のごとく、代わり映えがしない政党なのかと暗たんとする

市川房枝|近代日本人の肖像 | 国立国会図書館

▲派閥の裏金事件を巡り、衆院政治倫理審査会の日程が決まらない。出席の顔触れや公開の度合いでおしなべて逃げ腰の自民党がなかなか応じない

▲市川さんを調査に駆り立てたのは、前年の黒い霧事件だろう。閣僚や自民議員の不祥事が相次いだ。国税庁も異例の調査に踏み切り、申告漏れ議員が200人を超す実態を公にした。今回は、どうか。財務相が弱腰のせいか、納税を「議員の自由判断」と発言したと受け取られた

政治資金規正法の「抜け穴」を突き、自民党幹事長が動かしていた大金も明るみに出た。議員と政治団体、出し入れするカネとのひも付けこそ、マイナンバーの出番なのでは。おーい、河野さん。