「わが家のアイドル」の意外な反応(2024年2月26日『山陰中央新報』-「明窓」)

山陰中央新報の人気コーナー「わが家のアイドル」


 本紙の宅配エリアは島根、鳥取両県に限定される。しかし、デジタル版の「Sデジ」になると、パソコンやスマートフォンなどを通じて、国内に限らず海外にも閲読エリアは広がる

▼先日、出雲市に住む知人から興味深い話を聞いた。ポーランドで暮らす息子がデジタル紙面(紙面ビューアー)を読んでいると、横にいたポーランド人の妻が突然、紙面を指さして「これは何?」と叫んだという

▼季節を象徴する風景写真でも、派手見せする特集記事や広告でもない。1~6歳の子どもの写真を誕生月に合わせて掲載する「わが家のアイドル」である。あどけない笑顔を名前や両親たちのメッセージとともに紹介する人気コーナー。わが家の子ども2人も20年以上前、1歳の記念に登場した

▼ところが、異国の地では、笑顔が並ぶコーナーに「これじゃ、誘拐犯に狙ってくれと言っているようなもの」という意外な反応が返ってきたという。「日本は他国に比べて治安がいい、という証しかもしれない」と知人。文化や置かれている環境の違いもあるだろう

▼思えばポーランドウクライナの隣国。戦火から避難した95万人余りを受け入れている。緊張感が広がる中、犯罪に神経質になるのも無理はない。ロシアによるウクライナ侵攻が始まり2年が過ぎた。避難民が安心して帰還し、子どもたちの笑顔が一日も早く戻ってくるのを、遠い山陰から願うばかりだ。(健)