不倫辞退騒動で苦境に立つ「ミス日本」これから懸念される“不幸な未来”(2024年2月16日)

ミス日本コンテスト公式「X」より

 

両親ともにウクライナ人、昨年に帰化したことを報告

グランプリ受賞前後に彼女が切に訴えていたこと

帰化した女性」「不倫した女性」は別問題

 つまりカロリーナさんは、自分が「ミス日本」グランプリを獲ることでこれらの問題の議論が活発になり、日本の価値観のアップデートの一助になればと望んでいたはず。けれど不倫スキャンダルが起こったことで、一歩前進どころか、一歩後退してしまう可能性もあるでしょう。

 というのも、今後「ミス日本」の大会委員は、どんなに素晴らしい“日本人らしさ”のある帰化した女性がいても、今回のカロリーナさんの一連の騒動があったため、その人をグランプリに選出しにくくなるという懸念がおおいにあるからです。

 カロリーナさんが「帰化した女性」であることと、「不倫した女性」であることは完全に別問題であり、彼女が受賞辞退をしたのは後者の要素が理由です。

 しかし、この2つの論点をごっちゃにして語る人が出てくることは想像に難くなく、もしまた帰化した女性をグランプリにしようものなら、「また同じ過ちを繰り返すのか!」と非難の声があがる可能性は否めません。

 そうなると「ミス日本」大会委員は、日本国籍を持っていても海外にルーツのある女性などをグランプリに選びにくくなるという、旧態依然とした“日本人らしさ”のフィルターがかかった状態で選考しなくてはいけなくなるのではないでしょうか。

日本のアップデートに水を差すことに…皮肉な状況

 繰り返しますが「帰化した女性」ということと「不倫した女性」ということは、別問題として切り離して考えるべきで、仮にまた帰化した女性が受賞しても“同じ過ち”でもなんでもないのですが、そういったバッシングが飛び交うことが予想されます。

 となると、やはり「ミス日本」の大会委員は、今後しばらくは海外にルーツを持つ女性をグランプリにすることが難しく、少なくてもここから何年かは選出しないでしょう。

 カロリーナさんは人種差別の意識改善やダイバーシティの考え方が社会に浸透していくことを願い、一方の「ミス日本」大会委員は旧来の“日本人らしさ”にとらわれず、新しい価値観を提示しようとしていたはず。

 けれど、一石を投じたつもりが、結果的に日本のアップデートに水を差すことになってしまったという皮肉な状況になっているように感じます。カロリーナさんにしてみれば、それはもうひとつの悲劇とも言えるでしょう。

――不倫スキャンダルで「ミス日本」グランプリ受賞が“なかったこと”になるのは致し方ないかもしれません。ですが、彼女が訴えていたことは“なかったこと”にせず、私たちはその問題提起に真摯に向き合っていくべきなのではないでしょうか。

 

【堺屋大地】
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。現在は『現代ビジネス』、『smartFLASH』、『文春オンライン』、『集英社オンライン』などにコラムを寄稿。LINE公式サービスにて、カウンセラーとして年間で約1500件の相談を受けている。Twitter(@SakaiyaDaichi)。

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