「愛想のない表情が怖い」「連呼しすぎ」女性1000人が選んだ《見たくないイラッとするCM》(2024年2月26日)

 

大人女性が選ぶイラッとするCMは?

あり得ない設定にも違和感から「イラッ」

 オンラインフードの注文・配達プラットフォーム『Uber Eats』のCMは、サービス名を連呼するわけではないが「ウーバーイーツでいいんじゃな~い?」というキラーフレーズが登場する。このCMには夏木マリ(71)演じる姑が、息子夫婦にウーバーイーツの利用を促す様子がたびたび描かれるのだが……。

「あんな派手な姑に『ウーバーイーツでいいんじゃない?』と言われたら、本当は頼みたくなくても、夏木マリさんの“圧”でオーダーしちゃいますよね。そもそも、お金を払うのはお嫁さんなのでは? 息子夫婦は地味な風貌なので、家庭内のパワーバランスを勘ぐってしまい、あまりいい印象がないです」(かなつさん)

 アンケートにも「いつも姑がウーバーイーツを頼ませているが『お金を払うのはおまえじゃないだろ』とツッコんでいる」(栃木県・51歳)という意見や「『夏木マリが姑なら、嫁姑うまくいってる感出せるやろ』という思惑が透けてきてムカつく」(大阪府・59歳)など、キャスティングに物申す声も散見された。“狙いすぎ”な配役は、視聴者をイラつかせるリスクがあるようだ。

 実際に視聴者がCMの出演タレントに反感を抱き、炎上に発展したケースもある。2023年末、『最強どん兵衛』のCMに起用されたモデル兼タレントのアンミカ(51)は、派手なドレスとキツネ耳で豪快なダンスを披露している。この動画が公式HPに公開されると、SNSに批判が殺到してしまったのだ。かなつさんは“アンミカーニバル騒動”についてこう分析する。

「商品は違いますが、どん兵衛といえば吉岡里帆(31)さんが演じていた“どんぎつねさん”のイメージがとても強いですよね。孤独な男性(星野源)のもとに現れる、優しくて可愛らしいどんぎつねさんが、突然、派手で元気なアンミカさんになってしまったことに、ショックを受けた視聴者が多かったのではないでしょうか。同じ日清の『U.F.O.』のCMなら、炎上しなかったかも(笑)」

 かなつさんの指摘どおり、アンケートにも「吉岡里帆がよかった」(山口県・41歳)、「吉岡里帆さんのどんぎつねさんがとても良く、アンミカさんだと強すぎ……」(埼玉県・54歳)などのコメントがズラリ。

 ちなみに、現在の『どん兵衛』どんぎつねシリーズは、イラストレーターや漫画家とコラボしたアニメーションCMが流れているが、残念ながら“吉岡どんぎつね”ほど話題になっていない。

 アンミカのほかに、イラッとさせるCM出演者として多く名前が挙がったのは、ふるさと納税サイト『ふるなび』のCMに出演中の貴乃花光司(51)。コメントを見ると「セリフの棒読みと愛想のない表情が怖い」(北海道・46歳)、「歌がヘタだし、わざとセリフを噛んでNGにしているようにも思えてイラッとする」(埼玉県・48歳)など、その歌唱力や演技力が見る人の不安を煽っている様子。また「貴乃花の笑顔を見ると、家族のゴタゴタがチラつく」(兵庫県・46歳)との意見もあり、過去のさまざまな騒動が尾を引いているのがわかる。

「私を含め、テレビっ子世代は貴乃花に対していい印象を抱いていません。親しみやすいキャラに変えたいのかもしれませんが、失敗に終わりそうですね」(かなつさん)

 CMタレントは企業の“顔”。その存在意義を問うアンケート結果となった。

「無作為に流れるCMには自分の意思が反映されていないので、意外なところでイラッとしたり、時代の変化を感じたりと、ひとつの“コンテンツ”として楽しんでいます。スキップしたい気持ちもわかりますが、たまには真剣にCMを見てみると、新たな発見があるかもしれません」(かなつさん)

 “イラッとするCM”も、裏を返せば印象深いCM。記憶に残らず終わるよりも、広告効果は高い?

 

その他にもこんな意見が!

au(三太郎シリーズ)】
→CMのギャラを使いすぎ。有名人をたくさん出すのをやめてその分料金を安くしてほしい(長野県・45歳)

マクドナルド(岡田准一)】
→旧ジャニーズのタレントを使わないことにしたのに、旧ジャニーズを辞めたからといって岡田准一さんを起用するスタンスにイラッとする(大阪府・58歳)

すき家石原さとみ)】
石原さとみすき家に行くはずがないと思って見ている。食べ方が大げさすぎ(愛知県・59歳)

ジキニン(なにわ男子・大橋和也)】
→声がガラガラの人が風邪薬の宣伝をしてるのは効果がなさそうに思える(東京都・53歳)

【スクールIE
→人にやる気を出させてもらわないとダメな人間は何をやってもダメ。やる気スイッチは自分で入れなければいけないと思う(岐阜県・42歳)

【夢グループ】
→CDをシーデー、DVDをデーブイデーと言うのがわざとらしい(東京都・67歳)

※インターネットアンケートサイト「Freeasy」にて1月中旬、全国の40歳以上70歳未満の女性1000人を対象に選択方式で実施

かなつ久美●漫画家。1990年に連載をスタートした『OLヴィジュアル系』が大ヒットし、過去2回のドラマ化を果たす。同作のその後を描いた『アラフィフヴィジュアル系』も電子書籍で発売中。趣味は美容と保護犬ボランティア

取材・文/とみたまゆり

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