皇位継承問題「6月末まで」決着? 専門家が指摘する“現状案”の「支離滅裂さ」と女性・女系天皇に対する「政府の本音」(2024年2月23日)

永田町は「一度動き出すと早い」

現状の案は「支離滅裂」
高森氏は、長年進展のなかった皇位継承問題の議論が動き始めたことは評価するものの、その肝となる有識者会議による報告書については「支離滅裂」と酷評する。

「まず、次の世代の皇位継承者は悠仁さまおひとりである以上、もっとも議論すべきは『安定的な皇位継承』を目指す方策のはずです。しかし政治的配慮によって、報告書では論点が『皇族数の確保』にすり替えられているという根本的な問題があります。

報告書には『次世代の皇位継承者(編注:悠仁さま)がいらっしゃる中でその仕組みに大きな変更を加えることには、十分慎重でなければなりません』と悠長なことが書かれていますが、悠仁さまは過去に軽い交通事故に遭われており、テロ未遂事件なども実際に起こっていて、今後も不安は残ります。

また現行制度のままでは、悠仁さまの妃(きさき)となられる方は『何が何でも男子を産まなければ』というあまりに重たいプレッシャーを背負うことになります。失礼ながら、そのような状況では、お相手を見つけるハードルも非常に高くなってしまうのではないでしょうか」

 
2019年には、悠仁さまが通われていたお茶の水女子大学附属中学校で、悠仁さまの机に刃物が置かれる“テロ未遂事件”が発生した

報告書は、悠仁さま以外の未婚の皇族が全員女性であることから、悠仁さまが皇位を継承されるときには他に皇族がいらっしゃらなくなることが考えられる、よって「まずは、皇位継承の問題と切り離して、皇族数の確保を図ることが喫緊の課題」であるとして、以下2案を提示している。

内親王・女王が婚姻後も皇族の身分を保持する
②皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子(編注:現在一般国民となっている旧宮家の男系男子孫)を皇族とする

しかし高森氏は、この2案についても「実現性が低すぎる」と疑問視する。

「まず①については、内親王・女王の配偶者やそのお子さまは『一般国民としての権利・義務を保持し続ける』としています。ご存じのとおり、皇族は参政権や経済活動の自由をはじめとするあらゆる権利が制限されており、いわば憲法上“正反対”の立場に置かれている皇族と一般国民が同じ家庭を営むというのは、現実的に考えてかなり無理があるのではないでしょうか。

また、皇族のお住まいや生活費などは国費でまかなわれていることから、一家がどこに住まわれるのか、家計管理はどうするのかなど、生活の根本的なところから多くの問題が出てきます。

そして②については、日本国憲法第14条が禁止する『門地による差別』に真正面からぶつかりますし、一般国民として生まれた旧宮家の方も、養子を受け入れる皇族側も、果たして“目先だけの皇族数確保”のための養子縁組に手を挙げる方はいらっしゃるのかという疑問が残ります」

実は国会議員も「女性天皇賛成派」が多い

【関連記事】