天皇陛下の64歳の誕生日を祝う一般参賀が23日、皇居・宮殿で催された。冷たい小雨が舞う中、能登半島地震で大きな被害を受けた北陸地方をはじめ全国各地から1万5883人（宮内庁発表）が訪れ、天皇、皇后両陛下と長女愛子さま、秋篠宮ご夫婦と次女佳子さまが長和殿ベランダから集まった人々に手を振って応えられた。
天皇陛下はあいさつで「能登半島地震によって亡くなられた方々に改めて哀悼の意を表するとともに、ご遺族と被災された方々に心からお見舞いをお伝えいたします」と述べ、「この冬も大雪や厳しい寒さで苦労された方も多いことと思います。皆さん一人一人にとって、穏やかな春となるよう祈っております。皆さんの健康と幸せを祈ります」と語った。
今年の天皇誕生日一般参賀の実施について、宮内庁の西村泰彦長官は「非常に悩んだ」としつつ、「多くの国民が楽しみにしている大変重要な行事」と実施を決定。多くの人が依然として避難生活を強いられている被災地の心情を踏まえ、会場では万歳など大声を出さないように呼びかけた。
参賀に訪れた人たちはさまざまな声が聞かれた。富山市から訪れた倉地裕美子さん（59）は「初めて天皇、皇后両陛下を直接目にして感動した。実施されてよかった」と喜んだ。名古屋市中区から夫婦で訪れた橘恭浩さん（63）は「陛下が自らの言葉で気持ちを伝えてくれてよかった」と笑顔を見せた。（山口登史）
