盛山氏の説明 教団対応に疑念拭えぬ(2024年2月21日『北海道新聞』-「社説」)

 盛山氏は2021年の衆院選で世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体から選挙支援を受けた疑いがある。
 岸田文雄首相は「現時点で盛山氏と教団とは一切関係がない」と強調するが、選挙支援以外にも教団側との接点が指摘される。
 盛山氏は「記憶がない」などと曖昧な釈明を続けるばかりで、説明責任をまるで果たしていない。宗教行政を所管する文科省のトップとして資質に疑問符がついたことは間違いない。
 教団の解散命令を巡る審問が22日から東京地裁で始まり、文科省は請求の妥当性を説明することになる。文科相が疑惑を抱えたままで、教団に厳正に対処できるのか。疑念は拭い切れない。
 不信任案は教団の解散命令請求に触れ「盛山氏が国民から疑念を抱かれずに公正な審理を進めることは不可能だ」と指摘した。
 採決では立憲とともに共産党、国民民主党が賛成した。疑惑を放置して「信任」した与党と維新の姿勢に納得できぬ思いを抱く国民は多いだろう。
 盛山氏はきのうの記者会見で、教団の関連団体から神戸市の地元事務所宛てに機関誌が毎月送られているとの一部報道を認めた上で「断りなく送られてきたもので依頼したことはない」と述べた。
 これまでの国会審議では、教団の関連団体から「平和大使」の肩書を贈られているとして追及を受け、肩書をもらった記憶がないと説明した。
 盛山氏は機関誌の発送を断ったり、肩書を返上したりする手続きはしておらず、今も接点があると見られても仕方がない。既に関係を絶っているとする盛山氏や首相の主張は強弁としか映らない。
 22年秋に教団側との接点が次々に発覚して更迭された山際大志郎元経済再生担当相との整合性も取れない。場当たりでちぐはぐな対応を続ける首相の任命責任が問われよう。
 盛山氏は22年9月公表の自民党調査に、今回明らかになった数々の接点を申告していなかった。議員の自己申告をまとめただけの調査の限界は明らかだ。
 自民党は半世紀以上に及ぶ教団側との関係が築かれた経緯や政策への影響を検証し、国民の疑念に真摯(しんし)に向き合う必要がある。