「ジャニーズ事件から何も学んでいない」松本人志問題で日本メディアに問われる“存在意義”(2024年2月19日)

吉本興業への忖度を疑ってしまう、各テレビ局の対応

性加害問題での反省が全く活かされていない

 これは専門家が「セカンドレイプ」と指摘するようにA子さんの人権にかかわる大問題です。にもかかわらず、「松本さん側に新しい動きがありました」と報じる。単なる芸能ニュースのように扱い、面白おかしく騒いでいるだけです。

 さらに唖然としたのは、読売テレビ・大橋善光社長の「松本さんと女性の対決を放送したい」という記者会見での発言です。テレビ局のトップにとって女性たちの告発はあくまで“ネタ”に過ぎないという本音が垣間見えました。

 一連の動向を見ていると、ジャニー喜多川氏による性加害問題での反省が全く活かされていないと思います。

 

大手メディアは松本さんに記者会見を要請すべき

 昨年3月に英BBCがドキュメンタリー番組で取り上げ、さらに被害者たちが実名・顔出しで会見してようやく、テレビ局は報じた。

 その後、ジャニーズ事務所が解体される段階になって検証番組を作りましたが、あの「反省」は一体、何だったのでしょうか。

 大手メディアは松本さんに記者会見を要請すべきです。現時点では「文春」が記事を一方的に報じ、松本さんは沈黙を保っている。文春と吉本興業が出す情報を、指をくわえて待っているだけで自らの責務を果たしていると言えるのか、考えて欲しい。

 

松本さんの問題でもメディアの存在意義が問われる

 裁判になったから、とただ判決を待つのではなく、途中経過も報じていくべきです。「文春」編集部も検証の材料として、今後、訴状が届けば誌面で公開してはいかがでしょうか。

 海外では、新聞社が先頭に立って性加害の問題を報じてきました。映画プロデューサーのワインスタイン氏のハラスメント問題では、「ニューヨーク・タイムズ」が先鞭をつけた。残念ながら日本では、新聞はオピニオンとして性加害の問題を報じても、具体的な事案に切り込みません。

 メディアの役割とは何か。ジャニーズにつづき松本さんの問題でも、その存在意義が問われています。

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 2月14日(水)12時配信の 「週刊文春 電子版」 および2月15日(木)発売の 「週刊文春」 では、お笑い界に革命をもたらした男が、なぜ女性たちから告発されるに至ったか――その道程を尼崎、心斎橋、六本木と総力取材で追った 「《実録・松本人志》なぜ『笑いの天才』は『裸の王様』になったか」 を掲載している。

 さらに、 「週刊文春 電子版」 では橋下徹氏、箕輪厚介氏、デーブ・スペクター氏ら計8人の論者による 「松本問題『私はこう考える』」 を配信している。

 

週刊文春」編集部/週刊文春 2024年2月8日号