災害とペット(2024年2月19日『しんぶん赤旗』-「潮流」)

 能登半島地震ではペットの被災も深刻です。家族がペットとともに過ごせる同伴避難の指定避難所が少ないためです。せっかくペットを連れて逃げても、被災家屋に戻ったり車中避難をする人も多い

珠洲市では、納屋で避難生活をしていた男性が火災により死亡する事件も。「ペットがいるから避難所にいけない」と話していたと言います

東日本大震災では3100頭もの犬が犠牲となり、熊本地震でも多数のペットが負傷したり放浪状態に。取りに戻った飼い主が津波にのまれたり、ペットを置いていくことができず災害に巻き込まれる悲惨なケースも起きています

環境省は2013年、ペットとの同行避難の推奨を「人とペットの災害対策ガイドライン」に明記しました。過去の悲惨な経験に学び、ペット防災が減災につながると自治体の防災担当職員も話します

▼しかしいま―「石川県の動物愛護団体から悲惨な声が届いた」。俳優で動物保護団体Evaの代表理事でもある杉本彩さんがネットなどで訴えます。3・11後も数々の災害があったのにペット防災が進んでいない。まず国が同伴避難を強く推奨すること、そして「公助により、人も動物も救える命があることを知ってほしい」と

▼同伴避難を進めるにはアレルギーや持病などがある人への配慮という課題も。災害時のペット取材や救済活動を重ねている団体の代表、香取章子さんは避難所の選択肢を増やす必要をこういいます。「動物に優しい社会は、人にも優しい社会です」