圧死が41%、次いで窒息22%、低体温症14%―(2024年2月16日『しんぶん赤旗』-「潮流」)

 圧死が41%、次いで窒息22%、低体温症14%―。能登半島地震の犠牲者の死因です。倒れた家屋の下敷きになり、身動きがとれず、凍死に至る。もう一歩早ければ…なんともつらい思いが

▼一時は3万人近い避難者。その多くが暖房もない過酷な環境下で忍耐を強いられた日々でした。「助かった命を守り抜きたい」と悲鳴にも似た訴えは切実感をもって

▼問題は発災半月もたっているのに、なぜ助かった命さえ危ういほど救助・支援が立ち遅れたのか。「半島へき地」「陸の孤島」だから仕方がなかったというのか

▼メディアなどによる国や県の対応を検証する報道が始まっています。何日も支援の手が届かず、置き去りにされた被災地。発災の翌日から現地入りした地元テレビ局記者は「これは間違いなく人災です」「そもそも石川県の震災への被害想定が甘すぎました」(『世界』3月号)

▼初動の遅れ、物資搬入・備蓄の欠陥、避難所の劣悪さ。「想定外」が起きたとき、どう対応するか。「今回は社会、行政の備え方が不十分だったために、被害が大きくなった」。防災工学専門の室崎益輝神戸大名誉教授が悔恨の念を込め本紙で語っています

▼「これは『人間の国』か」。阪神大震災で過酷な体験をした作家・小田実氏は、生活再建の見込みも立たないまま仮設住宅や学校、公園で生活を余儀なくされる被災地の姿に、こう憤りました。災害への備えと対応はどうあるべきか。本格的な復旧・復興を前に、いま一度かみしめたい言葉です。