「封印されたビデオ」2月28日から東京空襲資料展で初公開 1990年代に東京都が集めた戦争体験の証言(2024年2月17日『東京新聞』)

 東京都が1990年代、45年3月10日の東京大空襲などの戦争体験を都民から収録した後、大部分を非公開にした証言ビデオについて、小池百合子知事は16日の定例会見で、28日から都内3カ所で順次開く「東京空襲資料展」で、証言者から同意が得られたビデオの公開を行うことを明らかにした。

小池百合子都知事「平和の大切さを考えるきっかけに」

 都は、証言者から公開を希望するかどうかの意向調査を進めていた。資料によると、2023年3月現在で330人のうち128人から回答が得られ、116人が活用に同意した。小池知事は会見で「多くの人の公表の同意がベースになっており、感謝申し上げたい」とした上で「資料展開催に向け準備を進めている。証言映像を見て、平和の大切さを考えるきっかけにしてもらえれば」と述べた。
 ビデオには、都が95〜99年ごろにかけて集めた330人分の証言が収録されている。当時、都が建設を計画した「仮称・都平和祈念館」で展示するのが目的だったが、祈念館の展示内容や歴史認識を巡り都議会が紛糾。都は計画を凍結し、例外的に公開された9人分を除き、ビデオは非公開のまま倉庫に眠り続けていた。
 本紙は貴重な証言を活用するべきだとして21年から非公開の証言者を探し、本人に渡された収録テープを見せてもらって内容を紙面で紹介してきた。その後、都は公開や活用の同意を得た人の分について公開する方針に転換。昨年5月、空襲資料展で公開すると表明していた。
 空襲資料展は28日〜3月13日に池袋の東京芸術劇場、3月3〜12日に三鷹市公会堂、7〜14日に調布市文化会館でそれぞれ開催される。公開の詳細について、都生活文化スポーツ局の担当者は「現在準備中で分かり次第、お知らせしたい」としている。(中山高志)