【新・親も知らない今どき入試】
今週は「主要私大志願者数ランク」をお届けする。集計対象大学は、前年の志願者数などを参考にして選んだ100大学で、一般選抜について2月6日までの判明分をまとめた。 志願者数ランキングの1位は近畿大。
10年連続で最終確定値の志願者数ランキングのトップを走る同大は、中間発表の段階ながら2024年度も先頭をキープ。大きな改革を行っているわけではないが、安定的に志願者が集まっている。
2位に入ったのは、近年、このポジションが定位置となった千葉工業大だ。24年度は情報変革科学部と、未来変革科学部の2学部を新設。さらにコロナ禍の経済困窮者対策として導入した、共通テスト利用入試の受験料無償化を継続しており、今後、志願者をどこまで上積みするのか注目される。
3位は明治大が続く。昨年まで2年連続で志願者が増加してきた反動はなく、最終確定を待たずに志願者増が確定。
4位の法政大は、昨年の志願者減の反動もあり、確定前の段階で3000人以上増加。法政大が10万人台を回復したことから、24年度入試で10万人超の大学は、昨年の3大学から4大学に増えた。
明治大や法政大を含め、難関大の出願状況が好調だ。25年度入試から学習指導要領が改定される。新しい学習指導要領に切り替わると、「現行課程で学んできた受験生は不利になる」という、新課程への警戒感から、24年度入試は難関大受験を手控える、安全志向が強まるとみられていた。 しかし、現時点の一般選抜の出願状況を見る限り、難関大回避という、大きな流れは見られない。
「難関大を目指す層と、準難関より難易度が低い、一般的な大学を目指す層に受験生は二極化している。後者は学校推薦型や総合型で年内に入学先を決めているケースが多く、年明けの一般選抜まで残っている受験生は、ぶれずに難関大に出願しているのでしょう」(予備校関係者) 最難関の早稲田大は6位。志願者が1459人減少し9万人台を割り込んだが、減り幅でみると1・6%減なので前年並みといえよう。
慶應義塾大はベスト10圏外ではあるが、前年を189人上回る3万7600人で20位になっている。
近畿の難関大では13位の関西学院大(5万1097人、7360人増)の増え幅が大きい。21年の神戸三田キャンパス(兵庫県三田市)の理系学部拡充に加え、受験生目線の入試方式の変更など、一連の改革が奏功し4年連続の志願者増となっている。
15位の同志社大(5万943人、971人増)も志願者の増加が続いている。
主要私大のうち、現時点で志願者の減少幅がもっとも大きいのは日本大。志願者の減少にともない、前年の5位から9位に順位を下げた。日大の志願者減は、受験生が他大学に志望変更した影響が考えられる。日大志望者の併願校となる東洋大は4000人近く志願者が増え、前年の8位から5位に上がった。専修大も前年の志願者を上回る4万8507人で、16位になっている。
■井沢秀(いざわ・しげる) 大学通信情報調査・編集部部長。1964年2月6日、神奈川県生まれ。明治大学卒業後、受験情報・分析を主力事業とする大学通信入社。大学の入り口(入試)から出口(就職)まで、情報を収集し発信中。中高・大学受験の案内書・情報誌を編集するほか、新聞社系週刊誌、経済誌などへの情報提供と記事執筆を行う。
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