去年暮れに始まった自民党のパーティ券裏金疑惑は、『政治と金』の問題を国民に突きつけ、現職国会議員の逮捕や、派閥の解散にまで発展しました。
この疑惑を調べた一人で、刑事告発したのが、霧島市出身で神戸学院大学の上脇博之教授です。一体どのようにして、裏金疑惑を調べ、刑事告発したのか。トレードマークのバンダナの理由についても聞きました。
(神戸学院大学法学部 上脇博之教授)
「とにかく、もう1人でもいいので、きばらにゃいかん。そうずっと自分に言い聞かせている毎日です」 研究室でも常にバンダナを頭に巻き、熱く語る神戸学院大学法学部の上脇博之教授(65)です。 1958年、霧島市隼人町生まれで、加治木高校を卒業後、神戸大学大学院などに進み、博士号を取得。
その後、北九州大学教授などを経て、2004年から、兵庫県の神戸学院大学の教授です。 憲法学を教える傍ら、2002年に『政治と金』を監視する政治資金オンブズマンの設立にも加わり、現在、代表を務めています。
(神戸学院大学法学部 上脇博之教授)
「例えば、清和政策研究所。これがひどいですよね」 自民党の政治資金パーティを通じた裏金疑惑に気付いたのは、おととし。新聞記者から裏金疑惑の調査報道に関するコメントを求められた時でした。 早速、自分でも、全国に6万近くある政治団体が購入したパーティ券支出と、派閥の収入を調べたところ収支に不一致があることが次々と判明。すぐに分かっただけでも、政治資金収支報告書への不記載額は、自民党の5つの派閥で2018年以降、およそ5900万円に上っていました。 マスコミで一連の疑惑が取り上げられると、各派閥は、次々と収支報告書を訂正。これにより、上脇教授は裏金疑惑の金額が明らかになったと指摘します。
(神戸学院大学法学部 上脇博之教授)
「政治資金パーティーの売り上げが9480万でしたって、当初の収支報告書に書いていて、訂正したものを見ると、1億9762万円、つまり1億円余りが裏金になってたんです」「一つの派閥の政治団体で1個か2個だったら、まだ単純ミスです。ちょっと見落としがありましたっていう逃げが打てるんだけど、もうたくさんあるわけですよ」「告発状のやっぱり最後に、裏金が作られた可能性があるということを指摘した」 自民党の派閥の代表や会計責任者などを政治資金規正法違反の疑いで最初に刑事告発したのはおととし11月。自ら記者会見に出て、疑惑を公表したことでふるさと鹿児島からエールも・・・
(神戸学院大学法学部 上脇博之教授)
「中学・高校で一緒になってた友達が見たぞと、何回かショートメールを送ってくた」「一つはね、頑張ってるなと。もう一つは、もっとやれ、にちょっと近い感じで、頑張れよっていう感じです」「激励していただいているのもあるので、うれしい気持ちに結構なってね」 しかし、「疑惑を世間に公表し続けると恨みを買う可能性がある」として弁護士の仲間からある助言も受けたといいます。
(神戸学院大学法学部 上脇博之教授)「最初の告発での記者会見が終わった後に、新幹線とか何か乗り物に乗るときに(ホームの)一番前に立つなと」 常に頭巻いているバンダナもファッションのためだけではないといいます。
(神戸学院大学法学部 上脇博之教授)
「日頃はこういう格好してますけど、出歩くときは僕帽子被っていて。バンダナをしてると、バンダナが目立つ分だけ、他の恰好するとすごくわかんないんですよ」「万が一を考えると、そうやって使い分けしてると、変身ではないですけど、役に立つのこともあるかなという」 危険を顧みず、「政治と金」について調べる上脇教授ですが、今後も裏金作りはなくならないと警鐘をならします。
(神戸学院大学法学部 上脇博之教授)「どうも岸田さんの国会答弁聞いてても、裏金作りをなくすという方向でいかないですね。法律を本当に変えて、裏金が作れないようにしていかないと、自民党は変わらないと僕は見てるんです」「議会制民主主義を、どうにかして実現せんといかん。そんためには、もうきばいしかならんないな」