窮地の中居正広とフジテレビ(C)ピンズバNEWS
「日本生命が1月19日放送分からフジテレビでの自社のCMの放送を取りやめ、ACジャパン(旧公共広告機構)のCMに切り替えると発表されました。その後、トヨタ自動車、さらには明治安田生命保険からも同様の発表があって……フジのあの会見では、スポンサーが離れていくのも当然でしょうね」。
冷めた目でそう語るのは、40代の大手広告代理店関係者である。
この騒動に「フジテレビの編成幹部のA氏が関与している」「女性が上司に相談していたにもかかわらず、見過ごしていた」といった報道も出ているなかで、フジテレビの港浩一社長(72)は1月17日午後に都内で会見を行なった。その背景には“スポンサー離れ”への懸念があったことは言うまでもない。
「24年12月27日、フジテレビは公式サイト上で幹部A氏の中居さんと被害女性のトラブルへの関与を否定しました。しかし世間からの厳しい声が収まるはことはなく、ここにきて大株主である米国ファンドからも強い抗議があるなど、フジテレビ全体の姿勢が問われる事態に。さすがに社内からもスポンサー離れを懸念し、早い段階で説明の場を設けるべきだとの声が上がっていたようです」(全国紙記者)
しかし、17日に行なわれた会見は中継はなし、記者クラブ加盟メディアしか入れないという閉鎖的なものだった。そこで港社長は、第三者の弁護士を中心とする調査委員会の設置を明言するも、「回答は差し控える」「調査委員会に委ねる案件」とする場面も多々見られたという。前出の全国紙記者が、会見内でのやり取りを話す。
「(騒動を受けて)広告を引き上げたスポンサーがいるかという質問に、港社長は“個別の契約についてはお答えしないことになっている”と連発。さらに、騒動については“事件”が起こった2023年6月に把握していたとしましたが、これまでスポンサーへの報告はナシ。広告料をもらっておきながらスポンサーにトラブルを伏せ続けた理由として、“(被害)女性の人権やプライバシーの問題などを総合的に判断した”と説明しました」
フジは今後、第三者を入れた調査委員会を設置するというが、前出の大手広告代理店関係者は「スポンサーを軽視している」とため息を漏らす。
「先日、フジテレビによる広告代理店向けの“説明会”があったんです。簡単にいえば、フジテレビサイド、営業や編成が今後の番組スポンサーを募るため、代理店マンに4月以降の新番組の内容などをアピールする場ですね。そこでは渦中となっている編成部長のA氏がプレゼンをする予定だったといいます。しかし、A氏は現れず、代役の人が担当になったそうです。
そのA氏は1月15日から出社を停止していることが報じられていますが、少なくともそれまでは、全然元気に打ち合わせもしていたみたいですよ……。ただ、代理店関係者の前に姿を見せたら、物議を醸すことは火を見るより明らかですからね。だから出られなかったのでしょう」(制作会社幹部)
その説明会のメインは、4月の改編での新番組の内容説明だったようだが、
「ただ、はっきり言って、新番組のウリはこれです、などとアピールしている場合ではないですよね。現場で代理店マンからは“トラブルの説明を”“今後、会社としてどう対応していくのか”といった声が上がり紛糾。“トラブル解決の方向性が見えないとスポンサーとは話ができない”となったそうですよ。代理店マンがそう声を上げるのは当然ですよね。フジテレビを担当する彼らも、仕事にならないわけですから。
CM枠を買ってもらえないと、テレビ局は経営していけません。そういう意味で、フジテレビはまさに大窮地にあります。しかし、その後にあったのが、17日の港社長の、今後、第三者による調査委員会を設置するというだけの会見……。
中居さんの女性とのトラブルについては23年6月に把握しており、さらにはトラブルの初報が出たのは昨年の12月19日。約1か月もあって、その対応しかできなかったことに、代理店関係者、そしてスポンサー企業はあきれてしまっているのではないでしょうか……」(前同)
■トラブルへの関与が報じられている幹部A氏がいるフジの編成は……
フジ・メディア・ホールディングスのうち、フジテレビ単体の売上高を見ると、2022年度決算で2374億円、2023年度決算で2382億円。売上の主体はスポンサー料だ。
そんな台所事情が急変しそうな今回の騒動。前出の大手広告代理店関係者によれば「数百億の見込みが消えかねない」というから、その危機たるや……。
別の広告代理店マン(30代)は、テレビ局と広告代理店の関係性を明かす。
「まず、テレビ局は編成がいちばん“偉い”ポジションです。番組の企画をはじめ、制作費から何から番組に関わる全権限を握っている。編成がGOを出さないと何も始まらないし、編成が終了といえば終了。すべてをコントロールする司令塔です。
一方で大手広告代理店には、局ごとに“局担”と言われる営業担当者がいます。編成と密接に関わり、CM枠を買うわけですが、すごく閉じられた世界なんです」
フジテレビの印象については、
「あくまでも個人的な印象ですが、フジには広告代理店に“枠を買わせてやってる”という態度が漂っている気がしますね……。“テレビ離れ”は明確に進み、どれだけフジの視聴率が不振だと言われても、周囲からは“フジテレビ”の名前を出せばチヤホヤされるじゃないですか。そういったこともあってか、いまだに天狗のような態度を取る人もいますね。
以前、仕事をした編成の若手は、うちの営業の女性と初対面の直後、“合コンしましょう”“自分と付き合うといいことあるかもよ”ってしつこくメッセージを送っていましたよ。彼がそういうタイプだっただけかもしれないですが」(前同)
現在フジテレビに出稿している、あるスポンサー企業の広報担当者は「もしかしたら、フジの上層部は、まだ本当に何が悪いかがわかっていないような気もしてきますね……」と不信感を隠さない。
「一連の問題のこの大元、根本にいったい何があったのかということを、しっかりと第三者の目を入れて調べてもらう、そして会社が生まれ変わる……一歩にするべきだというふうに私は感じています。それがやはり信じてくださっていた視聴者の皆様に対する、あるべき姿勢だとも思います」
と途中、言葉を詰まらせながら語った。
現場は悩み、苦しみながら目の前の仕事に向き合っている。加速するスポンサー離れと、第三者が中心となる調査委員会の設置で今後、フジテレビは変わっていくのだろうか。
ピンズバNEWS編集部