救助隊員ら「これほど残酷な現場は初めて」 韓国旅客機事故(2024年12月30日『朝鮮日報日本語版』) 

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(写真:朝鮮日報日本語版) ▲全羅南道務安郡の務安国際空港でチェジュ航空の旅客機が着陸中に外壁と衝突し爆発する事故が発生した。写真は現場で救助作業にあたる消防隊員。隊員らは真っ黒に焼けた旅客機の座席を掘削機などを使って引き上げた。29日午後撮影。/NEWSIS
 29日に179人が犠牲になった務安国際空港でのチェジュ航空旅客機事故の現場は文字通り修羅場だった。空港の外壁に激突した旅客機は胴体後部と尾翼の一部だけ何とか形が分かるほどしか残っていなかった。真っ二つに割れた機体の前部は完全にバラバラの状態だった。遺体の回収作業を行っている救助隊員らが「これほど残酷な現場は生まれて初めて見た」と口々に語るほどだ。
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搭乗者の遺体を収容する消防隊員たち
 機体周辺ではあちこちから途切れることなく煙が出続けた。火災の消火作業は午前中に終えたが、熱気は午後になっても強く感じられた。強い臭いが鼻を突く中、黒焦げになった航空機の破片や破損した旅客機の座席、搭乗客のものとみられる持ち主が分からないかばんや靴などの所持品が機体の周囲に飛び散っていた。事故現場周辺の電信柱や鉄条網には酸素マスクや救命ベストなどがあちこちに引っ掛かっていた。ある消防隊員は「機体から200メートル離れた場所でも乗客の所持品や航空機の破片が発見された」「破片があまりに多く散らばっていて作業は難しかった」と語った。
 空港外壁の外に取材記者や周辺住民らが集まる中、事故機周辺からは機体を切断する作業音が聞こえてきた。ある救助隊員は「破損した機体に乗客の体が挟まっていたりするため、機体の破損部分を一つ一つ切断する必要があり救助作業は難航を極めている」と話した。別の救助隊員は「衝突の際に破損した遺体がバラバラに混ざり合うなど、まともに見られないほど凄惨だった」と述べた。現場では激しく破損して身元が分からない遺体の一部などが散らばっていることから、当局は外から見えないようあちこちに黒いシートを設置した。その後、遺体は臨時の安置所に運ばれ、指紋などから身元を確認する作業が行われた。
 この日SNSで急速に広がった事故当時の動画に多くの市民が衝撃を受けた。車輪が出ない状態で胴体着陸を試みた事故機は高速で滑走路の外壁に激突して爆発し、巨大な炎に包まれた。周辺の民家などから燃え上がる事故機や黒い煙が激しく上昇する様子をさまざまな角度から撮影した動画がリアルタイムで広がった。市民からは「みんなわずか数秒前まで生きていた市民だ」「これは映画ではなく現実だ」「当分は飛行機に乗れないだろう」などのコメントが相次いだ。
 全羅南道医師会と光州市医師会は同日声明を出し「事故の様子を目の当たりにしたとか、動画で見た人は二次的なショックを受ける可能性が非常に高い。精神的なトラウマは長期にわたり心理面や健康面に悪影響を及ぼす恐れがある」として注意を呼び掛けた。
務安=コ・ユチャン記者、務安=ク・ドンワン記者、務安=カン・ジウン記者

韓国の旅客機事故 滑走路外の構造物に衝突し被害拡大か(2024年12月30日『聯合ニュース』)
 
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事故機が衝突して破損した構造物=30日、務安(聯合ニュース
【務安聯合ニュース】韓国南西部の務安国際空港で29日、旅客機が炎上して乗員乗客179人が死亡した事故をめぐり、空港に設置されたコンクリート製の構造物が被害を拡大させたと指摘され、議論を呼んでいる。
 同空港は昨年、旅客機を滑走路に誘導するアンテナの一種であるローカライザーが耐用期限(15年)を迎えたため、交換するとともに基礎を補強した。
 ローカライザーが設置された構造物は、滑走路の端から約300メートル離れた場所にある。構造物の高さは2メートルで、コンクリートの構造物の上に盛り土がされており、ローカライザーを含めると高さは4メートルになる。
 務安国際空港は滑走路の端から先が斜面となっており、盛り土をして水平にしたことでできた高さ2メートルの丘の上にローカライザーが設置されたとみられる。
 事故当時、車輪が正常に降りなかったチェジュ航空の旅客機は管制から着陸許可を受けて胴体着陸を試みたが、滑走路を越えて丘に衝突し、爆発した。
 海外の航空専門家や元パイロットらは、動画投稿サイト「ユーチューブ」やメディアのインタビューなどで、旅客機が構造物に衝突したことで人的被害が拡大したと主張した。英国のニュース番組に出演した航空専門家は「本来ならこうした強固な構造物があってはならない位置」と指摘した。
 一方、務安国際空港の関係者は「航空機の着陸を安全に誘導するためのローカライザーは耐用期限が到来し、規定通りに設置した」として、問題はなかったとの立場を示している。
 国土交通部は30日の会見で「務安空港は滑走路縦断安全区域外の滑走路の端から約251メートル離れた場所に方位角施設(ローカライザー)が設置されている」とし、「麗水空港や清州空港にもコンクリート構造物形態の方位角施設がある」と説明した。