文化遺産に伝統的酒造り 福井の蔵元、消費増つなげ(2024年11月29日『福井新聞』-「社説」)
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の評価機関が、日本酒などの「伝統的酒造り」を無形文化遺産へ登録するよう勧告した。伝統的酒造りはカビの一種であるこうじ菌を使い、蒸したコメなどの原料を発酵させる日本古来の技術で、日本酒や本格焼酎、泡盛などが該当する。12月初旬にも登録が正式に決まる見通しで、福井県内の蔵元からは消費拡大へ期待の声が聞かれる。
国税庁の統計によると2022年度の国内の酒類の製造量は、缶チューハイなどのリキュールやビールが200万キロリットルを超えているのに対して、日本酒を含む清酒は32万8300キロリットルにとどまる。出荷量ではピーク時の1973年度に比べ3割以下にまで落ち込んでいる。
福井県酒造組合の水野直人会長は「昔は酒といえば日本酒であり、冠婚葬祭や地区の祭り、選挙の陣中見舞いなど日本酒は欠かせないものだった」と説明。現代は、生活様式の変化や若者のアルコール離れなどが進み、日本酒を取り巻く環境は厳しいとする。
国内消費が落ち込む中、今回の無形文化遺産登録が追い風となると期待されているのは日本酒の海外輸出。県酒造組合によると、同組合加盟蔵元の日本酒輸出は年々増加している。2012年は約100キロリットルだったが、昨年は306キロリットルと3倍に増えている。出荷量に占める輸出の割合は1割を超えた。
輸出先はアメリカや中国、香港、台湾、韓国が上位を占める。日本酒は高級品との位置づけで和食レストランでの人気が高いという。これら日本酒が浸透している国での一層の消費拡大に加えて「東南アジアやアフリカ、南米などまだ広がっていない国から注目されるのでは」と水野会長は可能性を指摘する。
ただ輸出は相手国の経済や政治状況で大きく変動するリスクを抱えており、国内消費の喚起も併せて必要だろう。日本酒の蔵元は千以上あり産地間競争は激しい。今回の文化遺産登録が北陸新幹線開業の年と重なったことは、県内の蔵元にとってアドバンテージになるはずだ。新幹線開業によって、福井県の認知度や注目は今までになく高まり観光客も増えている。訪れた観光客が食とともに味わったり、土産品として購入したりすることなどを通じて福井の酒を体験する機会は増えている。
体験で終わらせることなく、継続して福井の日本酒を楽しんでもらう仕掛けも必要だ。北陸新幹線開業と無形文化遺産登録が重なった好機を逃してはならない。行政支援も必要となるだろう。消費拡大に向けた蔵元による取り組みに期待したい。
(2024年11月26日『新潟日報』-「日報抄」)
「寅が日本酒を飲むのは、その土地の文化に触れたいからなんです」。映画「男はつらいよ」シリーズのロケで新潟を訪れた山田洋次監督は、こう話していたという
▼旅の宿でおちょこを口に運んだ寅さん。くいっとやると、にわかに表情がゆるむ。そんな場面を思い浮かべながら、その土地の酒を口に含む。寅さんならずとも、地元の文化を味わったような気分になる
▼私たちは日ごろ、新潟は米どころ、酒どころだと胸を張る。けれど、かつての新潟米の評価は散々だった。農地はたびたび洪水に見舞われ、土は肥えたが、窒素成分の多さはうまいコメづくりにはむしろマイナスだったという
▼先人は土壌や作物の品種を改良し、良質米を育ててきた。コメを原料とする日本酒も、軟水が多いといわれる新潟の水をはじめ、地元の気候風土に合った造り方を追い求めてきた。やはり日本酒は、地元の文化そのものなのだろう
▼日本酒をはじめとした伝統的酒造りが国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録される見通しになった。複数の発酵を同じ容器の中で同時に進める製法は、世界でも珍しい。さらに、各地の風土に根ざした文化としての存在感も大きい
▼新潟の酒の持ち味である「淡麗辛口」は、地元の風土が生み出したとされる。加えて近頃は、コメの持つ甘みやうまみにこだわる、個性的な銘柄も増えた。新潟の酒はいっそう奥行きを増している。冷やもよし、人肌もうれしい季節になった。さて今夜のお供は-。
「酒造り」が無形遺産へ 地域が育んだ文化継承を(2024年11月25日『毎日新聞』-「社説」)
こうじ造りの様子=山口県岩国市の旭酒造で2023年12月7日午後2時7分、植田憲尚撮影
各地の気候風土に根ざし、多様な味わいや文化が育まれてきた。
米や麦などの穀物にカビの一種であるこうじ菌を繁殖させた「こうじ」を使用し、発酵させるのが伝統的酒造りの特徴だ。
祭礼や結婚式などの行事にはつきものであり、地域文化とも深く結びついている。
酒造りは、原料を供給する農家を含めて地域住民の絆を強め、環境の持続可能性に貢献している。こうした点が、登録を勧告した評価機関に認められた。
ただ、健康志向の高まりなどでアルコールの国内市場は縮小傾向にある。日本酒の国内出荷量は1973年度をピークに減少している。昨年度は約40万キロリットルと、最盛期の4分の1に落ち込んだ。
伝統的な技術をどう守り、継承していくかが課題となっている。杜氏は65年度の3683人から、2022年度は712人になった。作業の調子を合わせたり、つらい仕事を紛らわせたりするための「仕事歌」も廃れつつある。
すでに無形文化遺産になっている和食は国外で人気があり、日本酒の輸出量は伸びている。登録でブランド力が高まれば、販路がさらに広がることも期待される。
酒造りには、きれいな水と良質の原料が欠かせない。地域の豊かな環境をどう未来へつないでいくかを考える契機にもしたい。
古酒作りに失敗した。約15年前に甕(かめ)に詰めた泡盛が大幅に減った。途中、数回飲んでつぎ足す「仕次ぎ」を試したが、封が甘かったか。甕の漏れか。いずれにしても残念な結果だ
▼泡盛は瓶でも熟成される。なぜ甕貯蔵かというと、容器内の空気量と甕に含まれるミネラル分が鍵らしい。酸化と化学変化が熟成を促す。先人が築いた貯蔵法。独自の酒造法とも言える。「古酒を育てる」奥深さの一つだ
【伝統的酒造り】県産酒の追い風に(2024年11月18日『福島民報』-「論説」)
日本の「伝統的酒造り」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録される見通しとなった。高い品質を誇る県産酒を広く世界に発信する好機となる。国、県、市町村と酒造関係者が一体となって輸出増に努めるとともに、来訪客を満足させるおもてなしの取り組みを深めてほしい。
伝統的な酒造りは室町時代に原形が確立したとされる。500年以上にわたって各地で受け継がれ、発展してきた。県内の神社の例大祭では古来、神様に供えられたどぶろくが参拝者に振る舞われた。県立博物館によると、酒造免許を持つ神社は東北6県で唯一、本県のみにあり、数は国内最多の10社に上る。酒は祭りや結婚式などさまざまな儀式で重要な役割を担うなど、地域の生活や文化に欠かせない存在と言え、文化遺産にふさわしい。
「和食 日本人の伝統的な食文化」が2013(平成25)年にユネスコ無形文化遺産に登録されたことで、海外で日本食ブームが起き、日本酒の輸出量も年々増えている。県によると、県産アルコール類の2022(令和4)年度の輸出額は7億7500万円で、統計を取り始めた2012年度以降で最高となった。日本酒は約5割に及ぶ。文化遺産への登録を弾みに県産酒の知名度を向上させる取り組みを強化すべきだ。
例えば、日本酒と和食の組み合わせは本県らしさが売りになる。会津の「こづゆ」「ニシンの山椒[さんしょう]漬け」、県北の「いかにんじん」、郡山市の「鯉[こい]の甘露煮」、相馬市の「ほっきめし」など各地の郷土料理との「文化遺産ツーリズム」を企画してはどうだろう。みそ、しょうゆ、ぬか漬けなど、県内の優れた発酵食品も加えれば、独自の持ち味を発揮できる。健康志向の高まりもあり、国内外からの誘客も見込めるだろう。
昨年の国内出荷量は約40万キロリットルで、ピークだった1970年代の4分の1に減り、蔵元の経営は厳しい。そんな中、全国新酒鑑評会金賞受賞数9年連続日本一という「日本酒王国ふくしま」を築き上げた蔵元を応援する機運も一段と高めていきたい。消費者、飲食店、宿泊施設、関係団体などが一体で消費拡大に努めることが伝統の継承につながる。(古川雄二)
日本酒や焼酎の知名度が世界的に高まれば、消費の拡大や担い手確保が期待できる。伝統文化である酒造りの技をさらに磨き、九州など生産地の活性化につなげたい。
伝統的酒造りはカビの一種であるこうじ菌を使い、蒸したコメなどの原料を発酵させる。日本古来の製造技術で、複数の発酵を同じ容器の中で同時に進める工程は世界でも珍しい。
各地の風土や気候に合わせて、杜氏(とうじ)たちが手作業で洗練させ、継承してきた。
勧告は伝統的酒造りの知識と技術が「個人、地域、国の三つのレベルで伝承されている」と評価した。
祭事や婚礼といった日本の社会文化的行事に酒が不可欠であることや、酒造りが地域の結束に貢献していることなどが、登録に必要な基準を満たすと判断した。的確な捉え方である。
日本酒や焼酎などの国内市場は、高齢化や消費者の嗜好(しこう)の変化で縮小している。
国税庁によると、2022年度の日本酒を含む清酒の出荷量は40万7千キロリットルで、約50年前の4分の1に減少した。泡盛を含む本格焼酎(単式蒸留焼酎)は39万3千キロリットルで、焼酎人気が続いていた07年度と比べ3割減っている。
13年に「和食」が無形文化遺産に登録され、海外で和食人気が高まったことも追い風となった。
日本を訪れる外国人観光客が日本酒や焼酎を味わう機会が増えており、国内消費も幅が広がりそうだ。和食に限らず、さまざまな食に合った酒を勧めるなどPRに工夫を凝らす必要がある。関係者の努力に期待したい。
酒類に対し、関税や輸入規制などのハードルを設けている国が少なくない。関税や規制の緩和、輸入手続きの簡素化などには政府の働きかけが欠かせない。
九州の生産地にとっても悩みの種だ。無形文化遺産登録は、身近な酒造りの価値を多くの人が認識するきっかけになる。ぜひ後継者の育成に弾みをつけたい。
日本の酒造り 内外に伝えたい文化的な価値(2024年11月15日『読売新聞』-「社説」)
日本酒や焼酎、泡盛などを造る技術の文化的な価値が、世界に認められた。国内外の多くの人々に、その歴史や技法、洗練された味わいを知ってもらう契機としたい。
日本の酒造りは、こうじ菌を使って米や麦の発酵を促し、酒の風味を豊かにするのが特徴だ。室町時代に原型が確立され、その技は今も受け継がれている。
酒は、神への感謝を示すため、神棚などに供え、結婚や誕生といった祝いの場でもふるまわれてきた。一年の無事を祈る正月の 屠蘇 とそ や、ひな祭りの白酒などは、季節の風物詩でもある。
今回、ユネスコの評価機関は、日本の酒が「社会文化的な行事に欠かせず、地域の結束に貢献している」と評価した。
古来、日本の生活に溶け込み、暮らしを彩ってきた酒の文化に触れることは、日本文化を考えることにも通じるだろう。
無形文化遺産の制度は、芸能や行事、伝統工芸などの保護を目的としている。これまで日本からは、能楽や歌舞伎、和食など22件が登録された。日本酒は和食と相性がいい。共に発展できるようなメニューなども工夫したい。
日本酒の国内出荷量は、ピークだった1973年度の4分の1以下まで減り、酒蔵の数も半分以下の1600程度となっている。好みの多様化で他の酒を飲む人が増え、若者らの「日本酒離れ」も指摘されている。
一方、海外では日本食レストランが増え、日本酒の需要が高まっている。輸出量はこの10年で約2倍に増えた。日本の酒造りの現場を見てもらう「酒蔵ツーリズム」で、訪日外国人客を呼び込もうという取り組みも広がっている。
日本酒でも、ワインの新酒「ボージョレ・ヌーボー」の発売時期のように、大きなキャンペーンを行ってはどうだろうか。
日本の伝統技法をこれからも守っていかなければならない。国や業界は、日本の酒造りへの理解を深め、消費を拡大させるため、さらに知恵を絞ってほしい。
長年にわたり国内各地で受け継がれてきた技術にあらためて目を向ける機会にしたい。
ユネスコの評価機関は、酒造りの知識と技術が「個人、地域、国の三つのレベルで伝承されている」などと評価。酒が日本の行事に不可欠であることや、酒造りが地域の結束にも貢献していることが登録基準を満たすとした。
酒どころの高知県にとっても喜ばしい知らせだ。技術の継承と酒の魅力の発信に弾みがつく。
伝統的酒造りはカビの一種であるこうじ菌を使い、コメや麦などの原料を発酵させる日本古来の技術。ビールやワインとは異なり、複数の発酵を同じ容器の中で同時に進めるという、世界でも極めて珍しい手法を用いる。文化庁などによると、原型は室町時代には確立したという。
各地の気候風土に合わせながら杜氏(とうじ)や蔵人が経験を基に、原料の蒸し方やこうじ造り、発酵管理といった手作業の技を磨き、多様な酒を生み出してきた。
良質の水に恵まれた高知県にも多くの酒蔵があり、古くから酒造りが盛んだ。辛口のほかフルーティーな味など各蔵元が個性豊かな酒造りに取り組んでいる。県工業技術センターも支援し、全国新酒鑑評会の金賞受賞率は1位になった。県全体で酒造りのレベル向上に励んでいる。登録がさらなる追い風となるはずだ。
日本酒は儀式や祭事で振る舞われるなど日本人の生活や文化に深く根差してきた。だが、国内出荷量は減少傾向が続いている。国税庁によると、1973年度をピークに2021年度は3割以下まで落ち込んだ。少子高齢化やライフスタイルの多様化のほか、新型コロナウイルス禍での外食需要の低迷も響いた。
一方、世界的な和食ブームなどを背景に輸出は増加傾向にある。日本酒を含む清酒の輸出額は22年には約475億円と10年間で約5倍に増えた。輸出先上位には中国や米国、香港などが並ぶ。
ただ、世界の酒市場における日本酒のシェアは低い。認知度の低さ、食文化の違いなどの要因が指摘される。各国の輸入規制もハードルとなっている。官民挙げて一層の輸出拡大を後押しする必要がある。
併せて訪日外国人向けの酒蔵巡りなどの体験型観光も充実させたい。海外市場の拡大につながる可能性がある。
作り手の高齢化や後継者不足も課題だ。事業を継続できない酒蔵も少なくない。登録実現を機に酒造りへの関心を高め、担い手育成にも力を入れるべきだ。
酒造りの職人…(2024年11月9日『毎日新聞』-「余録」)
酒造りの職人、杜氏(とうじ)の語源には諸説ある。一説によると、「刀自(とじ)」と呼ばれた酒つぼに由来する。刀自は主婦を指す言葉であることから、かつて女性が酒造りを主宰したことを示唆するとの指摘もある(「新明解語源辞典」、三省堂)
▲酒造に携わる人たちに、朗報であろう。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に「伝統的酒造り 日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術」が登録される運びとなった。日本酒や本格焼酎、泡盛などが対象だ。製法は異なるが、カビの一種「こうじ菌」で原料を発酵させる点が共通している
▲長野市・川中島に戦国時代から伝わる酒蔵「酒千蔵野(しゅせんくらの)」の杜氏、千野麻里子さん(56)もその一人だ。蔵元の家に生まれ、東京の大学などで醸造を研究して酒蔵に戻り、杜氏となって25年たつ。「酒造りという文化の発展につながってほしいです」と登録を歓迎する
▲長野県内でも女性の杜氏が7人にのぼるなど、変化を感じるという。「以前に比べれば、女性が入りやすい空気になりました」
▲若い世代の日本酒離れや、飲酒の健康に与える影響などの課題に酒造業界は向き合う。「気温が高くなり、品質管理が難しくなってきています」と千野さん。酒造りを巡る環境や社会の変化も映し出す、無形文化遺産登録である。
急に冷え込み、秋が深まってきた。この数日は夜空も美しい。今夜は天気がよければ、上弦の月が見られるだろう。人気テレビ番組の「プレバト!!」で落語家の立川志らくさんが詠んだ句を思い出す。〈冷酒(ひやざけ)に心の月を入れて呑(の)む〉。濁りのない月の美しさのように、清らかな心で冷酒を一献。想像するだけで心が落ち着く
◆そんな「左党」の人たちにとって誇らしく思えるニュースに接した。日本酒や焼酎、泡盛などを造る日本の「伝統的酒造り」が、ユネスコの無形文化遺産に登録される見通しとなった。日本の「SAKE」が名実ともに世界的評価を受けたのだ
◆日本酒の歴史は古い。アニメ映画「君の名は。」では神様にささげるお酒として「口噛(か)み酒」を造る場面が出てきた。蒸した米を噛んで糖質に変え、自然界に存在するこうぼで発酵させるお酒だ。日本酒はそれくらい神様と結びつきがあり、神聖なもの。だから、日本酒と向き合う時は気が引き締まる
◆特に、佐賀の酒はうまい。佐賀の豊かな自然がはぐくんだ米と水。そこに杜氏(とうじ)の技術が加わって至高の酒が誕生する
文武天皇の御世(みよ)に編まれた『大宝令』(701年)は、家人が6人以上の家を「上戸」、4~5人の家を「中戸」、3人以下を「下戸」と定め、納税額を区分した。「上戸八瓶下戸二瓶」は、婚礼時に許された祝い酒の量という。
▼酒がいける口を「上戸」、飲めない人を「下戸」と呼ぶのは、このような酒の割り当て方に由来するとの説もある(『日本酒の世界』小泉武夫著)。きのうは立冬、ビールの喉越しより、五臓に染み渡る熱燗(あつかん)に恋しさを募らせる左党も多いだろう。
▼祝杯を挙げるのに、おあつらえ向きの朗報が届いた。日本酒や本格焼酎などの「伝統的酒造り」が、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されそうだという。平成25年の和食に遅れること十余年、日本の誇る「天の美禄(酒の異名)」がようやく認められる。
▼民俗学者の柳田国男いわく、酒は古来、神様と人をつなぐものだった。祭りの場で催す酒盛りには、人界に降りてきた神様との一体感を味わう意味がある。お神酒でもてなす人を「刀自(とじ)」と呼び、多くは神社の巫女(みこ)がその役目を担ったそうである。
▼後に「杜氏」の字が当てられる酒造りの匠(たくみ)は近年、その数を減らしている。日本酒や焼酎をたしなむ人が、国内では少なくなった影響という。土地ごとに仕込みの技法も風味も異なる酒は、繊細な生き物だろう。この機に歴史にも思いを馳せ、その味わいに親しむのも悪くない。
▼「上戸」も量を過ごすと、人でなくなることがあるから気をつけたい。大酒飲みを指す「蛇(じゃ)之助」は響きからしてよろしくないし、「大トラ」では手に負えない。杯は、おいしいと思えるうちに伏せるもの。正体をなくすまで酔っては、せっかくの美酒が泣く。
風土や気候などに結びついた酒造りは国内各地で行われている。日本酒の国内消費量は1970年代をピークに下降線をたどっているが、登録を機に改めて目を向け、親しみたい。
伝統的酒造りは、こうじ菌を使ってコメなどの原料を発酵させる日本古来の技術だ。複数の発酵を同じ容器の中で同時に進める世界でも珍しい製法を用いている。
勧告は、こうした酒造りの知識と技術が「個人、地域、国の三つのレベルで伝承されている」とした上で「社会にとって強い文化的意味を持つ」と評価した。
さらに、祭事や婚礼など日本の社会文化的行事に酒は不可欠であり、酒造りが地域の結束にも貢献しているとした。
技を伝えてきた杜氏(とうじ)や蔵人らの努力のほか、酒造りが社会で果たしてきた役割が高く評価されたと言える。うれしい限りだ。
大規模な酒造会社がある兵庫や京都に比べ、規模の小さい酒蔵が多いのが特徴だ。ユネスコ評価機関が指摘する「地域の結束」に貢献している蔵は多い。
国内出荷量は減少傾向だが、輸出は増加傾向にある。県産日本酒の2023年の輸出量は3024キロリットルで、22年の3099キロリットルに次いで過去2番目に多かった。
海外の和食ブームと円安が追い風となっており、拡大の余地が大きいとみられている。
酒蔵が地域振興のけん引役となってくれることにも期待したい。
国内屈指の技術力を備えた蔵元が多い本県にとって追い風といえる。海外市場での県産酒の認知度向上、輸出拡大などにつなげていくことが大切だ。
伝統的酒造りは日本古来の技術で、カビの一種であるこうじ菌を使い、コメなどの原料を発酵させる。複数の発酵を同じ容器の中で同時に進める製法は世界でも珍しく、各地の風土や気候などとも深く結びつき、杜氏(とうじ)や蔵人らによって長く受け継がれてきた。
本県の蔵元の多くは規模が小さいながら、伝統的酒造りの基準を満たす手法で高品質の酒を醸造している。日本酒の出来栄えを競う全国新酒鑑評会の金賞受賞銘柄数で9回連続で日本一に輝いたのもその証左であり、無形文化遺産の礎を築いてきたともいえる。県内の各蔵元は登録を誇りにさらに技術に磨きをかけてもらいたい。
国内消費量が減少するなか、日本の酒造り文化が見直される機会にもなるだろう。蔵元や流通関係者は国内での消費拡大の好機と捉え、取り組む必要がある。
日本酒造組合中央会によると、和食ブームを背景に日本酒の輸出金額、数量はともに右肩上がりで2023年度の輸出総額は410億円と10年前の4倍に成長した。輸出先は中国や米国のほか、台湾や香港、シンガポールなど東南アジアが中心だが、最近は中南米でも日本食レストランが急増しており、需要が見込まれるという。
県によると、22年度の県産の日本酒とリキュール類の輸出額は約8億円で、うち日本酒が半分を占める。無形文化遺産は、世界遺産や記憶遺産と並ぶユネスコの遺産事業の一つだ。13年には「和食」が登録され、海外で日本食ブームが起きるなど、その影響力は大きい。海外の需要増が期待できる。
県や各蔵元は、海外の人の好みに合わせた商品を開発したり、商品の特長を外国人にも分かりやすく伝えたりするなど、国外の新興市場で販路を構築してほしい。
多くの外国人が日本独特の自然や文化に関心を寄せ、各地を訪れている。最近は、地方の酒蔵を巡り、商品を味わうだけでなく、各蔵元の製造方法なども学ぶ「酒蔵ツーリズム」が広がりつつある。
本県は早くから酒蔵ツーリズムを観光資源に、訪日観光客の誘致を続けてきた。県は旅行会社や各蔵元と内容を充実させるなど、取り組みを強化すべきだ。
京都、滋賀をはじめ全国各地に伝わる酒造りの文化に光を当て、地域の活性化へつなげたい。世界的な和食ブームの中、日本の酒の輸出拡大も期待されよう。
儀式や祭事と深く関わってきた各地の酒造り。地域の結びつきに貢献していることが評価されたといえよう。
日本酒で、京都は酒どころ・伏見をはじめ約40の蔵元があり、兵庫県に次いで全国2位の生産量を誇る。良質なコメと水を使って個性的な地酒が生まれた滋賀は、約30の蔵元が酒造りを続ける。
日本酒は「SAKE」として人気を集め、輸出が拡大している。23年の輸出額は約411億円で、10年前の約4倍に達した。13年の「和食」の遺産登録後、3倍以上増えた海外の日本食レストランとも相乗効果が見込まれよう。
一方、嗜好(しこう)の多様化などを受けて国内消費は落ちており、農林水産省によると、ピークの1973年に比べて4分の1以上減っている。後継者不足などから蔵元の数も、今世紀に入って約4割減少している。
懸念されるのは、酒造りを支える足元の弱体化だ。機械化が進む中、日本酒造杜氏組合連合会所属の杜氏の数は、65年の最盛期から5分の1に減った。一方で、原料や製法にこだわった高付加価値の酒造りや、女性や外国人ら多様化した担い手の活躍もみられる。
登録はゴールではない。酒文化全体を見直す機会とし、持続的な取り組みと支援を求めたい。
酒文化(2024年11月7日『高知新聞』-「小社会」)
県外の知人と土佐料理店に入ると、決まって聞かれるのが「お薦めの地酒は?」である。案外これが悩ましい。銘柄に詳しくない上に、人によって好みの味や飲み方が異なるからだ。
高知流なら、手頃な値段の酒を熱燗(あつかん)で、杯も交わしながらにぎやかに。深い味わいや香りを堪能するなら吟醸系。普段あまり日本酒を飲まない人には飲みやすいカジュアル系だろうか。
相手は酒蔵や銘柄の多さに驚く。一方で、カツオなど山海の幸との相性のよさは共通だから、「さすが高知」とうなる。酒造りの伝統と進化を両立させてきた関係者に脱帽させられる。
居酒屋探訪で知られる太田和彦さんは、日本酒の多様性に、仕込み期間や「冷や、常温、お燗」といった温度の違いによる味わい方も挙げる。「日本人の繊細な感性と遊びごころ、そして四季の移ろいからだろう」。さらに、それに奥行きを与えるのが「各酒蔵の酒の個性だ」とする(著書「酒と人生の一人作法」)。
お酒の発明に関する、こんな説がある。人類が小麦などの穀物を栽培するようになったのはパンを作るためではなく、ビールを造るためだったのではないかというのである
▼穀物の種子を発酵させてビールを造る方が製粉や製パンよりも容易だったはず-というのがビール説の根拠という。あくまで一つの説だが、おなかを満たすパンより悲しいことを忘れさせてくれるお酒の方が先かもというのは人間くさい
▼<憂(うれい)あり新酒の酔(よい)に托(たく)すべく>夏目漱石。いやなことがあれば飲み、良いことがあればやっぱり飲む。遠い昔からこの国の人の心と体を慰めてきた「良き友」への朗報である。日本酒や本格焼酎などの「伝統的酒造り」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録される見通しとなった。祝い酒がほしくなる
▼<とろりとろりと今する酛(もと)は酒に造りて江戸へ出す>。米と麴(こうじ)をかき回す工程で、蔵人が歌う「酛すり唄」。酒造りの各工程では歌が欠かせなかったそうだ
▼作業を鼓舞するほか、歌でその工程に必要な時間を正確に計っていたという。日本の酒造りは複雑な上に繊細。科学とは無縁な大昔から試行錯誤と舌で酒造りをここまで磨いてきたのだろう。その伝統と知恵が評価された
▼世界は日本の酒に注目し、輸出も上向くが、国内での消費量は減っている。今回の登録が「憂いを払う玉箒(たまははき)」となるか。
日本政府が国連教育科学文化機関(ユネスコ)に申請していた日本酒や本格焼酎などの「伝統的酒造り」が、同機関の無形文化遺産に登録される見通しとなった。12月2日からパラグアイで開かれるユネスコ政府間委員会で正式決定される。
国内には古くからの酒どころが各地にある。ユネスコの評価機関は酒造の知識や技術が「個人、地域、国の三つのレベルで伝承されている」と評した。日本の風土や社会と深く結びついた「酒」の伝統文化が国際的に認められた意義は大きい。これを世界に広め、地場産業の振興などにつなげる契機にしてほしい。
無形文化遺産は伝統芸能や工芸技術、祭礼行事などが対象で、2006年発効の保護条約に基づき登録される。国内の登録は歌舞伎や能楽、和食などに続いて23件目となり、各国の中でも多い。日本の芸能や文化の豊かさを示している。
その中で兵庫県は日本酒生産量の3割を占める。神戸と西宮にまたがる全国随一の灘五郷をはじめ、伊丹や播磨、淡路などの産地がある。歴史は古く、奈良時代の「播磨国風土記」にも酒に関する記述がある。丹波や但馬の杜氏(とうじ)が技を磨き、酒造り唄(うた)を伝承してきた。酒米の王者・山田錦も北播磨の試験場で生まれた。
こうした日本酒との深いゆかりがある兵庫にとって、今回の登録は非常に喜ばしい。国内外に酒どころとしての発信を強め、地域ブランドを高める取り組みに期待したい。
伝統的酒造りは日本古来の高度な技術に支えられてきた。カビの一種であるこうじ菌を使い、コメなどの原料を発酵させる。複数の発酵を同じ容器の中で進める製法は、世界的にみても珍しいという。
戦前の沖縄にあった泡盛の酒造所は、激しい地上戦で壊滅状態になった。しかし焼け跡のむしろから奇跡的に見つかった黒こうじ菌などで戦後に復興された。酒造文化が容易に継承されてきたものではないという点も忘れてはならない。
懸念されるのは、酒造りに関わる人たちの高齢化が急速に進んでいる問題だ。酒米の生産者や酒造りに使う木製品の業者も同様の傾向で、後継者不足は深刻化している。
このままでは、古代から連綿と続いてきた日本独自の無形文化が先細りしかねない。政府や自治体は酒造りを産業としてだけでなく、後世に引き継ぐべき伝統と位置付け、有効な支援策を進めてもらいたい
伝統的酒造りはカビの一種であるこうじ菌を使うのが特徴で、500年以上前に原型ができたとされる。米や麦などを蒸す、こうじを作る、もろみを発酵させるなどの技術を各地の自然や気候に応じて杜氏(とうじ)らが手作業で洗練させ、継承してきた。
ユネスコの評価機関は、酒造りの知識と技術が「個人、地域、国の三つのレベルで伝承されている」と評価した。祭事や婚礼などの行事に欠かせず、地域の結束にも貢献しているとした。まさに、それぞれの土地の農業や風土に根差した産品である。
世界のアルコール類の中でも、発酵の手法は極めて珍しい。「並行複発酵」と呼ばれ、原料に含まれるでんぷんを、こうじ菌で糖に変える作用と、糖に酵母を加えてアルコール発酵させる作用を同じ容器の中で同時に進める。同じ醸造酒のワインやビールに比べ、日本酒のアルコール度数が高いのはそのためだ。
酒処・西条を代表する日本酒には、以下の銘柄。
「賀茂鶴(かもつる)」(賀茂鶴酒造)
「福美人(ふくびじん)」(福美人酒造)
「白牡丹(はくぼたん)」(白牡丹酒造)
「西條鶴(さいじょうつる)」(西條鶴醸造)
「亀齢(きれい)」(亀齢酒造)
「賀茂泉(かもいずみ)」(賀茂泉酒造)
「山陽鶴(さんようつる)」(山陽鶴酒造)など 酒造りに広島の技術は大きく貢献してきた。
広島の水はカルシウムやマグネシウムが少ない軟水で、酒造りにはそぐわないとされていた。発酵が進みにくい点を逆手に取り、発酵に長時間かける方法を確立。まろやかで繊細な広島の酒を誕生させた。広島は一大産地になり、この方法を習得した杜氏が全国で活躍した。
酒造りを文化として見直す機運は近年、高まっていた。広島杜氏組合は5年前に三浦の著書「改醸法実践録」を復刻。組合長の石川達也さんは翌年、杜氏として初めて文化庁長官表彰を受けた。今年2月には、「西条酒蔵群」が酒蔵として初の国史跡になった。
「西条酒蔵群」
ただ、日本酒の国内消費量は減少傾向が続いている。新型コロナウイルス禍で激減したお酒を楽しむ機会も、なかなか戻り切らない。杜氏の後継者不足や、酒造りに使う木おけなどの木製品の作り手の高齢化も問題になっている。
酒造り文化を後世につないでいく上で、ユネスコ無形文化遺産への登録は追い風になるに違いない。日本酒などの多様な魅力を、まずは今まで以上に多くの人に感じてもらいたい。職業として酒造りに関わる若者も増えるといい。官民が力を合わせて維持、発展に力を注ぐべきだ。
海外に知ってもらう機会が増えれば、輸出の拡大につながる。10年前に無形文化遺産に登録された「和食」と組み合わせれば、外国人観光客を引き寄せる効果も期待できるだろう。
こうじ菌と日本人(2024年11月6日『中国新聞』-「天風録」)
こんなにも日本人に大切にされるカビはあるまい。かつて、広島市内の酒蔵を取材する前に杜氏(とうじ)から厳命された。数日間は納豆を食べるのを控えて―と。酒造りの鍵を握る、こうじ菌の働きを納豆菌に邪魔させないためだ
▲杜氏自身の制約はもっと厳しく、酒を仕込む冬を「命を削る季節」と熱く語った。彼らもきのう、この一報をさかなに乾杯したに違いない。日本酒や焼酎など、こうじ菌を使う伝統的な酒造りがユネスコの無形文化遺産に登録される見通しとなった
▲古文書をたどると奈良時代に「黴(かび)生(は)えき、すなわち、酒を醸(かも)さしめて」の表現が見える。各土地のコメや水、そして人の情熱と合わさって、あまたの味や香りを生んだことに改めて驚く
▲酒都西条をはじめ日本酒造りが盛んな広島県は「近代焼酎の父」も育んだ。福山市出身の河内(かわち)源一郎だ。明治末に大蔵省技官を務めた鹿児島でこうじ菌研究を重ね、新種を発明。今も国内産焼酎の8割以上で使われる
▲河内はこうじ菌を培養するシャーレを肌身離さず、夜も懐に抱いて眠ったと伝わる。長い歴史と先人の努力を思えば、一滴もおろそかにはできない。日本人である誇りと喜びまで味わえるのだから。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の評価機関が泡盛を含む日本の「伝統的酒造り」を無形文化遺産に登録するよう勧告した。12月上旬に正式に登録される見通しだ。沖縄が誇る銘酒を海外に発信する大きな好機としたい。
15世紀ごろにシャム(現在のタイ)から伝わった蒸留技術を発展させてきた。沖縄戦によって各酒造所で守り育ててきた黒こうじが失われたが、研究者が戦前に保存していた菌をつなぐ形で、戦後に奇跡的に復興を果たした。
黒こうじは発酵の過程でクエン酸を出す。強い酸性にもろみが保たれるため、雑菌が繁殖しない。多湿な気候に合致した製法である。風土に培われ、苦難の歴史も乗り越えてきた酒と言えよう。
課題は出荷量の落ち込みだ。県酒造組合のまとめでは、2023年の泡盛の総出荷量は前年の22年比で3・4%減の1万2865キロリットルだった。出荷先別で見ると県内、県外、海外向けのいずれも前年より減少した。比較する22年は沖縄の施政権返還50年に当たった。節目で需要が高まり、前年から出荷量の増加は18年ぶりだった。しかし、この特需を維持して伸ばすことはできていないのだ。
23年は海外出荷分の落ち込みが激しく、47・2%減。中国や米国向けが特に減った。日本酒も国内消費が減少傾向にあるものの、海外向けは輸出額が増えている。日本の酒に対する注目度は高く、海外の購買層は拡大している。泡盛も海外需要を伸ばすことができるはずだ。
泡盛産業の振興に向け、沖縄国税事務所が取り組みを進めている。台湾を母港に宮古島を巡るクルーズツアーの乗船客を対象に、船内での試飲会や料理との組み合わせの提案などプロモーションを実施。宮古島市内で酒造所を回るバスツアーも企画した。帰国後にも楽しめるよう、台湾での取扱店の情報提供まで細かく対応している。
古酒に新酒をつぎ足していく「仕次ぎ」など、独特の楽しみ方を知ってもらうことができれば、欧米でも需要は高まるはずだ。知名度向上に向けた、またとない機会である。業界、行政が一丸となり、泡盛産業の新たなステージを切り開いてもらいたい。
勧告の中で「酒は日本の生活に根ざし、社会的文化的な行事に欠かせない」と強調する。経験を積み重ねた杜氏(とうじ)や蔵人たちの仕事が「酒の品質を決定する」と高く評価した。
「伝統的酒造り」は、麹(こうじ)菌を使い、米や麦といった原料を発酵させる日本古来の技術だ。500年以上前に原型が確立し、各地の気候や風土に合わせながら受け継がれてきた。
若い酒をつぎ足し古酒を育てる「仕次ぎ」など、貯蔵法にも独自性を持つ。
沖縄の歴史と風土、それに職人たちの知恵と技術が溶け込んだ文化である。
先人が培った製法を、世界が認めたことになる。
守り抜く意識を高め、次世代に伝承する決意を固める機会としたい。
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商品としての泡盛には課題も多い。
出荷量は2004年をピークに、23年までの20年間で半減以下に落ち込んだ。
ビールやハイボール、ワインなど好みの多様化に加え、飲酒の機会が減ったといった社会的要因がのしかかっている。
泡盛は県内消費が8割を占め、海外への輸出は全体の数%に過ぎない。
観光客を含めた県内消費を伸ばすとともに、海外販路の拡大が重要だ。
各酒造所は商品開発や、炭酸割りといった新たな飲み方の提案などで生き残りを懸けている。
世界的な知名度を上げ、魅力の発信によりいっそう力を入れてもらいたい。
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登録によって文化の継承や観光客の増加、地域の活性化、経済発展など、多くの利点が想定される。
同時にオーバーツーリズムなどの課題もある。地域全体で沖縄の伝統文化を守り、後世につなぐ取り組みが求められる。