当選直後の斎藤氏(写真・馬詰雅浩)
11月17日に投開票がおこなわれた兵庫県知事選は、2021年のときから25万票以上も増やし、およそ111万票を獲得した斎藤元彦氏の完勝となった。
【画像あり】斎藤氏、当選直後 “どや顔” で支持者をチラリ
「勝敗を左右したのはSNSでした。選挙戦スタート時は、従来型の『靴底をすり減らす』というドブ板選挙が中心だった前尼崎市長の稲村和美氏が優勢といわれていました。
それが、選挙戦中盤以降は様相が変わってきたのです。斎藤陣営がSNSを積極的に活用し、『勝手連』の応援団などが参戦し、YouTubeやTikTokに斎藤氏の演説動画などを次々アップしたことで、斎藤氏が激しく追い上げました。
斎藤氏のXのフォロワー数の増加も顕著で、9月末の失職直後は約7万人でしたが、選挙終盤は約19万人に増えました。一方の稲村氏は1万5000人ほどで、形勢がひっくり返ったのです」(政治担当記者)
当選が決まると、斎藤氏は「これからオール兵庫でやっていくことが大事」と語り、軋轢が生じている県議・県職員との意思疎通を図っていくことを表明したのだが……。
「投開票日翌日の18日に、知事選で中断していた『文書問題調査特別委員会』、通称『百条委員会』が再開されました。
今回の選挙でも大きな争点となった『パワハラ問題』『おねだり疑惑』を受けて、この内容を調査すべく、6月13日に県議会が百条委員会を設置していました。
それ以降、疑惑追及がなされ、8月30日と9月6日に斎藤氏が証人として出席してパワハラ、おねだり、告発文書の内容について質問されています。
今回の選挙で再選した斎藤氏は、この百条委員会で引き続き疑惑追及がなされる予定です。18日の委員会では、いわば “第2ラウンド” となる日程が決まりました。いまのところ、11月25日を軸に、斎藤氏を再び証人として呼ぶことを検討しているとのことです」(同)
第2ラウンドは、「公益通報の取り扱い」「通報者への処分の妥当性」などがおもな調査対象になるとみられている。
しかし、県議会関係者からは「百条委員会の質問者は大丈夫だろうか」と心配する声があがっているという。
「その理由は、斎藤氏の街頭演説に『追っかけ』のように駆けつけた熱狂的な支援者の方々です。ネット上では、斎藤氏の一部の支持者が暴行を加えるような様子の動画も拡散されています。
これは極端な例ではありますが、百条委員会でも、斎藤氏の支持者が “暴走” することが心配されているのです。
今後開かれる百条委員会で、斎藤知事に厳しい質問をすると、傍聴席に詰めかけた支援者から激しいやじが飛ぶ可能性があります。また、質問者がネット上で吊し上げられることも危惧されます。
一般傍聴席数は30席ということですが、県の事務局は傍聴希望者の殺到による混乱を心配しています」(同)
元宮崎県知事の東国原英夫氏も、11月18日放送の『ゴゴスマ』(TBS系)で「(議会の様子は)ネットでも放送されます。全部、さらされて、質問した議員の家も特定されてしまう。そうなると、議員は黙るしかなくなります」と、疑惑を追及する側のリスクを語っている。
斎藤氏の劇的勝利の熱が、ヒートアップしないとよいのだが。