石破首相「深い反省のもとに臨む」 立民・野田代表「自民党政治に決別を」 衆院選公示、与野党舌戦はじまる(2024年10月15日『東京新聞』)

 
衆院選が15日、公示され、自民党の派閥裏金事件を受けた政治改革や経済政策などを巡る与野党の舌戦が始まった。石破茂首相(自民党総裁)は被災地の福島県で、野党第一党立憲民主党野田佳彦代表は「裏金議員」の地元で、それぞれ街頭演説に臨んだ。

◆石破首相「日本を担えるのは自公連立政権だけ」

第一声のマイクを握る石破茂首相=10月15日午前、福島県いわき市で(井上峻輔撮影)

第一声のマイクを握る石破茂首相=10月15日午前、福島県いわき市で(井上峻輔撮影)

石破茂首相は、東日本大震災東京電力福島第1原発事故で被災した福島県いわき市小名浜港でマイクを握った。
能登に行こうか、それとも福島に行こうか、東北に行こうか。ずいぶん考えた。福島の復興なくして東北の復興なし、そして東北の復興なくして日本の復興なし。能登とともに、新しい日本の再生にかけるわれわれの思い、それはこの福島、いわき小名浜から上げさせていただきたい」と説明した。
自民党は今回の衆院選で、派閥裏金事件に関係したとして、旧安倍派幹部ら前職12人を非公認としたほか、選挙区の候補者43人については比例代表への重複立候補を認めなかった。
石破氏は「私たちは政治とカネ、パーティーの収入の不記載、そういうことが二度とないように、深い反省のもとにこの選挙に臨む。そしてこの選挙を、私は日本創生、そのための選挙だと位置づけた。必ずもう一度新しい日本をつくってまいる」と語った。
その上で「このいわきの復興を核とする被災地を中心として、新しい日本の経済をつくる」と訴え、衆院選後の国会で2023年度の補正予算を上回る規模の補正予算案を示す考えを表明した。
野党は、能登半島地震の被災者支援や復興支援のための補正予算編成を要求していたが、石破内閣は早期の衆院解散に踏み切り、予備費で対応すると決めた。これについては、石破氏は「能登の復興は予備費できちんとやる」と理解を求めた。
石破氏は「国民を信じて、うそ偽りなく真実を述べ、あるべき日本の姿を語る。今、自民党が頑張らないでどうするのかと思っている。この日本を担えるのは自民党公明党の連立政権の他にない」と支持を呼びかけた。

◆立民・野田代表「自民党には自浄作用がなかった」

第一声に臨む立憲民主党の野田佳彦代表=10月15日午前、東京都八王子市で(平野皓士朗撮影)

第一声に臨む立憲民主党野田佳彦代表=10月15日午前、東京都八王子市で(平野皓士朗撮影)

立憲民主党野田佳彦代表は、自民党の派閥裏金事件を受けて今回は非公認で立候補する旧安倍派幹部の地元・東京24区(東京都八王子市の大部分)を第一声の場所に選んだ。
JR八王子駅前で「裏金が大きな争点であることを国民の皆さまにご理解いただき、その怒りを皆さんと共有していただくためにも、初日は裏金大物議員の選挙区を回ろうと思った」と切り出した野田氏。
この旧安倍派幹部は旧統一教会とのつながりも深かったとして、「『裏金議員』を裏から支える。裏、裏、裏の自民党政治に決別しよう」と声を張り上げた。
野田氏はこのあと、同じく旧安倍派幹部が非公認で出馬する兵庫9区と福井2区に移動し、立憲民主党公認候補の応援演説を行うと明かした。
野田氏は裏金事件について、「自民党内では自浄能力がなかった。全然、実態解明は進まないから、衆院参院政治倫理審査会が設置された。82人が出席要求されたが、74人は出席拒否して説明責任を果たさなかった。政倫審に来た人たちも、うそばかりついていた」と指摘。「予算委員会でこの問題を追及されると、せっかく誕生した石破さんの政権も支持率がどんどん下がってしまう、(衆院を)解散できなくなる。それを恐れて裏金隠し解散になったんじゃないか」と批判した。
野田氏は、1994年の政治改革で「政党交付金の代わりに、政策が歪められる可能性のある企業団体献金は解消する。その方向を確認した」として、「間違いなく自民党の政策は大きくゆがんでいます。自民党政治資金団体は24億円の企業献金をもらっている」とも強調。企業団体献金の廃止を訴えた。

◆各党党首らも第一声

公明党石井啓一代表、日本維新の会馬場伸幸代表、共産党の田村智子委員長、れいわ新選組櫛渕万里共同代表は東京都内で、国民民主党玉木雄一郎代表は神戸市で、社民党福島瑞穂代表は沖縄県浦添市で、参政党の神谷宗幣代表は大阪市で、それぞれ第一声を上げた。