石破首相、アベノミクスは「コストカット型の経済、よくなかった」 核禁条約には慎重姿勢 各党党首討論会(2024年10月12日『東京新聞』)

 
 衆院選公示を15日に控え、与野党の7党首は12日、日本記者クラブ主催の討論会に臨み、自民党派閥の裏金事件を巡る「政治とカネ」や、消費税のあり方などについて議論を交わした。石破茂首相(自民党総裁)は、米国の核兵器で相手の攻撃を思いとどまらせる核抑止について「(日本が)依存していることは間違いない事実だ」と主張し、核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加には慎重な姿勢を示した。

◆核禁条約、共産は「批准」主張、立民と公明は会議参加に前向き

討論会を前に握手を交わす各党党首。左から、国民民主党の玉木代表、公明党の石井代表、立憲民主党の野田代表、自民党総裁の石破首相、日本維新の会の馬場代表、共産党の田村委員長、れいわ新選組の山本代表(坂本亜由理撮影)

討論会を前に握手を交わす各党党首。左から、国民民主党の玉木代表、公明党の石井代表、立憲民主党の野田代表、自民党総裁の石破首相、日本維新の会の馬場代表、共産党の田村委員長、れいわ新選組の山本代表(坂本亜由理撮影)

 日本原水爆被害者団体協議会(被団協)のノーベル平和賞受賞が決まったことを受け、立憲民主党野田佳彦代表は核廃絶に向けて同条約の締約国会議に「オブザーバー参加すべきだ」と訴えた。与党である公明党石井啓一代表も賛同し、共産党の田村智子委員長は同条約の「批准」を主張した。一方、首相は「核抑止力を認めながら、核兵器の廃絶(を目指すこと)が両立可能なのか、検証は必要だ」と述べ、違いが鮮明になった。
 物価高対策を含む経済政策を巡り、野田氏からアベノミクスの総括を求められたのに対し、首相は「コストカット型の経済にしたのがよくなかった。個人消費が上がっていかなければならない」と語った。
 消費税について、首相は「社会保障には安定した財源が必要だ」として減税に反対の考えを示した。野田氏は、税額控除や給付を組み合わせて実質的に消費税の一部を還付する「給付付き税額控除」の導入を主張。れいわ新選組山本太郎代表が「個人消費が減れば世の中にお金が回らない」と廃止を求め、国民民主、維新、共産の各党トップも消費減税などを訴えた。

◆立民・野田佳彦代表「自民党トップが変わっても政治は変わらない」

衆院選公示を控え、日本記者クラブ主催の討論会に出席する(左から)国民民主党の玉木代表、公明党の石井代表、立憲民主党の野田代表、自民党総裁の石破首相、日本維新の会の馬場代表、日本共産党の田村委員長、れいわ新選組の山本代表(坂本亜由理撮影)

衆院選公示を控え、日本記者クラブ主催の討論会に出席する(左から)国民民主党の玉木代表、公明党の石井代表、立憲民主党の野田代表、自民党総裁の石破首相、日本維新の会の馬場代表、日本共産党の田村委員長、れいわ新選組の山本代表(坂本亜由理撮影)

 「政治とカネ」に関連し、国民民主党玉木雄一郎代表は、使途が不明確な「政策活動費」について自民党が公約で「廃止を念頭に見直す」とあいまいにしている点を追及すると、首相は「現行法制では合法だ」と今回の衆院選で支出する方針を改めて示した。
 選挙の争点として、野田氏や石井氏、田村氏らが政治改革に言及。野田氏は「自民党のトップが変わっても政治は変わらない」と政権交代を訴え、衆院選の目標を「自公の過半数割れ」に設定した。首相は「状況が極めて厳しいことは肌身に染みている」と自公の過半数維持を目標とした。