公明、苦肉の「裏金」推薦 小選挙区で見返り期待【24衆院選】(2024年10月12日『時事通信』)

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公明党本部=東京都新宿区南元町
 公明党が、自民党の派閥裏金事件に関係した前衆院議員らを、衆院選で相次ぎ推薦している。
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清和政策研究会」(旧安倍派)の会計責任者、松本淳一郎被告=5月10日、東京都杉並区
 
 「政治とカネ」の問題で厳しい姿勢を自負するものの、与党に強い逆風が吹く中、石井啓一代表ら小選挙区の公認候補の勝利は、自民の協力が不可欠と判断した。
 公明は11日、衆院選の第3次推薦を発表。「裏金候補」は10人が追加され、計28人となった。この中には、自民が非公認を決めた西村康稔経済産業相(兵庫9区)と三ツ林裕巳内閣府副大臣(埼玉13区)も含まれる。
 小選挙区の「10増10減」に伴う埼玉の区割り変更で、三ツ林氏が地盤としてきた旧14区の一部は、比例代表から転じる石井氏の新14区に組み込まれた。
 三ツ林氏の推薦理由について、公明の西田実仁幹事長は「私たちの党員らに十分、説明責任を果たし、協力関係も構築されている」と説明。しかし、党関係者は「石井氏の当選には三ツ林氏の協力が欠かせない」と本音を漏らす。
 一方、兵庫では2区の赤羽一嘉国土交通相と8区の中野洋昌衆院議員が、これまで「すみ分け」を図ってきた日本維新の会と初対決する。公明側としては、西村氏らを推薦する「見返り」に、支援を引き出したい考えだ。
 計4選挙区で維新と競合する大阪でも、4人の裏金候補を推薦。なりふり構わず「常勝関西」の死守を図る。
 「推薦はあくまでも地元の判断だ。党本部で指示したことは一切ない」。石井氏は10日のインタビューでこう主張したが、世論の理解が得られるかは不透明だ。