きょう上訴権放棄へ 検察トップ畝本検事総長が「控訴しない」と発表 袴田巖さんの無罪確定へ(2024年10月8日『TBS NEWS 』)

いわゆる「袴田事件」の再審=やり直しの裁判をめぐり、検察トップの畝本検事総長は控訴しないと表明しました。袴田巖さんの無罪判決が確定することになります。

1966年6月、静岡県のみそ製造会社の一家4人が殺害されているのが見つかり、袴田巖さん(88)が逮捕・起訴され、1980年に死刑が確定しました。

袴田さんは2014年に再審請求が認められ、やり直しの裁判で静岡地裁は先月、無罪を言い渡していました。

控訴期限の今月10日までに検察側が控訴するかが焦点でしたが、検察トップの畝本直美検事総長はきのう、控訴しないと表明しました。

畝本総長は談話で、捜査機関によって証拠がねつ造されたとした判決について「到底承服できない」としつつ、「袴田さんが結果として、相当な長期間にわたり不安定な状況に置かれてきたことにも思いを致した」としています。

きょう、控訴する権利=上訴権を放棄する手続きをとるということです。

姉のひで子さんと弁護団は昨夜、会見を開き、控訴断念を受けての心境を明かしました。

袴田さんの姉 ひで子さん

「58年の苦労というか、そういうものがすっ飛んだというか、喜びしか今のところありません。一件落着で、誰にも何も言われないということ。それから巌が死刑囚じゃなくなるということがとてもうれしゅうございます」

静岡県警は検察の断念を受けて、「当時捜査を担当した静岡県警としても袴田さんが長きにわたって法的地位が不安定な状況に置かれてきたことについて申し訳なく思っております」と謝罪のコメントを出しました。


姉・ひで子さん「これで一件落着」 袴田巌さん、無罪確定へ(2024年10月8日『日テレニュース』)
 

58年前、静岡県で一家4人が殺害された事件の再審(=やり直し裁判)で先月、袴田巌さんに無罪が言い渡されたのに対し、検察側が控訴しないことを明らかにしました。袴田さんの無罪が確定します。
検察が控訴を断念したことを受け、袴田巌さんの弁護団や姉・ひで子さんは会見を開き、喜びを語りました。
ひで子さん「これで一件落着で、誰にも何にも言われない。巌が死刑囚でなくなるということが、とてもうれしい。多くは望まないが、巌には、せめてもう少し長生きしてもらいたい」
小川秀世弁護士「控訴しないということで決まって、喜びをかみしめている状況」
一方、静岡県警は“控訴断念”を受けてコメントを発表し「当時、捜査を担当した静岡県警察としても、袴田さんが長きにわたって法的地位が不安定な状況に置かれてきたことについて、申し訳なく思っております」と謝罪しました。
また、静岡地検は控訴する権限である「上訴権」を「速やかに放棄する」とコメントしていて、これにより9日にも袴田さんの無罪が確定します。