東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職事件で、組織委員会の元理事に賄賂を渡した罪に問われている出版大手「KADOKAWA」元会長の角川歴彦被告の初公判が行われ、「私は無実です」と起訴内容を否認しました。角川歴彦被告は、大会スポンサーに選ばれるために東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の元理事に、およそ6,900万円の賄賂を渡した罪に問われています。きょうの裁判で角川被告は「起訴内容は検察官が勝手に作り上げた虚構」「令和の袴田さんにしないでいただきたい」と無罪を主張しました。検察側は金銭の授受について角川被告が「贈賄に該当すると認識していた」と指摘した一方、弁護側は「角川被告に何か情報共有されたことはない」「検察は初めから見立てありきで捜査した」と主張しました。
東京地裁で8日開かれた五輪汚職事件の初公判で、無罪を主張したKADOKAWA元会長の角川歴彦被告(81)は、1966年に起きた静岡4人殺害事件の再審で無罪判決を言い渡された袴田巌さん(88)を念頭に、「私を令和の袴田さんにしないでください」と訴えた。
角川被告は、紺色のスーツとネクタイに白いマスク姿で法廷に現れた。罪状認否で「KADOKAWAは私の人生そのもので、生きた証し。辱めないでいただきたい」と主張。自身の逮捕について「これほど理不尽で冷徹なものはない」と強い口調で批判した。
起訴が取り消された機械メーカー「大川原化工機」の元顧問の男性が勾留中に胃がんが判明して亡くなったことに触れ、「ひとごとではなかった」と強調。「裁判長、私は無実です。検察官がつくり上げた虚構です」と話した。
東京オリンピック・パラリンピックのスポンサー契約をめぐる汚職事件で、大会組織委員会の元理事に合わせて6900万円余りの賄賂を渡した罪に問われている出版大手KADOKAWAの角川歴彦・元会長は、東京地方裁判所で開かれた初公判で「全く身に覚えのないことであり、私は無実だ」と述べ、無罪を主張しました。
出版大手、KADOKAWAの元会長、角川歴彦被告(81)は、東京大会のスポンサー選定で便宜を受けたことの謝礼などとして組織委員会の元理事高橋治之被告(80)に合わせて6900万円余りの賄賂を渡したとして贈賄の罪に問われています。
8日、東京地方裁判所で開かれた初公判で角川元会長は「全く身に覚えのないことであり、私は無実だ。私の意思1つで会社の方針を決めることはできないし、犯罪に手を染めることなど到底できない」と述べ、無罪を主張しました。
検察は冒頭陳述で「スポンサー契約の見返りとして高橋元理事側に7000万円を支払うことについて説明を受け、了承した」と主張しました。
一方、弁護側は冒頭陳述で「決裁権限を持たず報告ラインにもいない元会長にリスクの情報が伝わる状況自体、存在しなかった」などと主張しました。
角川歴彦・元会長とは
事件を受けて「KADOKAWA」が設置した外部の弁護士などによる検証委員会の報告書では、不適切な行為が止められなかった原因として「上席者、とりわけ会長の意向への過度のそんたくとそれを醸成する企業風土があった」などと指摘しています。
角川歴彦・元会長は今回の事件で逮捕後、7か月間勾留されたことについて、無罪主張を続けると長期間勾留される「人質司法」であり、憲法違反だと主張して、国に2億2000万円の損害賠償を求める訴えを起こしています。
訴状によりますと、勾留中は弁護士が保釈を請求しても証拠隠滅のおそれがあるなどとして3度にわたって裁判所に退けられ、元会長は不整脈の持病を抱えるなかで意識を失うなど、体調が悪化したということです。