里山で個体数が減少しているスズメ=「モニタリングサイト1000」の調査に参加した佐藤良平さん提供
環境省と日本自然保護協会は1日、国内各地で動植物の状況を定点観測した結果、里山に生息する鳥類の15%、チョウ類の33%で個体数が年3・5%以上のペースで減っているとの報告書を公表した。この減少ペースが長期間続けば、スズメなどの身近な鳥やチョウが環境省レッドリストの絶滅危惧種の判定基準を満たす可能性があるという。
環境省などは2003年度から、全国のボランティアの協力を得て、国内1000カ所で生態系の変化を調査する事業「モニタリングサイト1000」を継続している。今回の報告書では22年度までの調査結果をまとめた。
報告書によると、身近な鳥やチョウの減少が特に顕著で、スズメは年3・6%、日本の固有種のセグロセキレイは8・6%のペースで減っていた。オオムラサキの減少率は年10・4%とさらに深刻だった。農地や湿地などの開けた環境を好んで普段よく目にする種が減少していたという。
里山以外でも気候変動の影響とみられる変化が表れている。全国的に南方系のチョウが増加し、暖かい気候を好む樹木が増えた。アカガエルの産卵日が10年で5~10日早まり、サンゴ礁では夏の高水温が原因とみられる白化現象が頻繁にみられるようになった。
湿地の減少など環境悪化による影響も深刻だという。シギやチドリなど内陸の湿地や沿岸域に生息する鳥類が10年間で半減し、島しょ部ではカモメ類が大きく個体数を減らしたことが分かった。