◆「裏金議員の公認は議論」が一夜で「新体制で決めること」に
歯に衣(きぬ)着せぬ言動が持ち味の石破茂元幹事長(67)は24日の記者会見で、「(裏金議員が)公認にふさわしいかどうかの議論は徹底的に行われるべきだ」と切り出し、議員にとって死活問題となる次期衆院選での非公認をちらつかせた。ところが、「みんなすごく怒っている」(安倍派中堅)と発言の波紋が広がると、裏金議員の処遇は「新体制で決めることだ」と翌25日にトーンダウンした。
河野太郎デジタル相(61)は26日、政治資金収支報告書への不記載があった議員に対し、不記載額の返納を求めることを打ち出した。同時に、返納して「いったんけじめがつけば、あとは党の候補として国民の審判を仰ぐことになる」と次期衆院選で公認する意向を示し、配慮をにじませた。
一方、2人とは対照的に一貫して寛大な姿勢を示すのが、小林鷹之前経済安全保障担当相(49)。「正式な処分をされていない議員は、適材適所の人事を行うことが大切」との考えで、国会内で19日に開いた出馬会見には24人の議員が駆け付け、うち11人が安倍派という顔触れだった。
◆歯切れのいいのは野田聖子氏くらい
いまだに裏金事件に対する国民の視線は厳しいが、なぜ各候補は裏金議員への対応が甘いのか。総裁選への投票資格がある自民の国会議員のうち、裏金議員は二階派も含めて約70人。議員票367の2割を占めて勝敗を左右しかねないだけに、無視できない存在となっているからだ。