「裏金議員に担がれる自民総裁候補」は5人だけか? 「迷惑かけては…」と推薦人にならなかった議員も(2024年9月13日『東京新聞』)

 
 自民党総裁選の選挙管理委員会は12日、立候補者9人の推薦人名簿を公表した。派閥の裏金事件に関係した議員から最も多くの推薦を受けたのは、高市早苗経済安全保障担当相で、推薦人の6割を超えた。高市氏は前回の総裁選で安倍晋三元首相の支援を受けた。その安倍氏が率い、裏金事件の主舞台となった安倍派に所属する議員を中心に支えられることとなる。

◆「党の処分、ひっくり返さない」

12日、自民党本部で開かれた総裁選候補者の所見発表演説会(佐藤哲紀)

12日、自民党本部で開かれた総裁選候補者の所見発表演説会(佐藤哲紀)

 総裁選の立候補には党所属国会議員20人の推薦人が必要で、今回は計180人が名を連ねた。このうち政治資金収支報告書への不記載などがあった「裏金議員」の21人が、5候補の推薦人になった。
 高市氏の推薦人で「裏金議員」に当たるのは、不記載額2954万円の三ツ林裕巳氏や、1564万円の杉田水脈氏など計13人。このうち6人は党役職停止や戒告の処分を受けている。高市氏は、新たな処分には否定的な考えを示すなど、裏金問題対応には慎重な姿勢だ。

◆「一票」を持つ議員の2割超

 「裏金議員」の推薦人数は、加藤勝信官房長官の4人、茂木敏充幹事長の2人と続く。
 一方で、あえてゼロにした候補もいる。小林鷹之前経済安保担当相の推薦人に「裏金議員」はゼロだったが、12日の出陣式に参加した議員など、本紙が確認した限りで少なくとも計10人が小林氏の支持に回っている。その1人は「候補に迷惑を掛けてはいけないから」と、推薦人にならなかった理由を明かした。
 派閥裏金事件を受けた党の調査によると、政治資金収支報告書への不記載などがあった議員らは、2022年までの5年間で安倍派と二階派所属の計85人。このうち辞職や党員資格停止処分中などの議員を除くと、今回の総裁選で投票権をもつ国会議員367人のうち、75人は裏金議員となる。(川田篤志
 

 

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