パラリンピック 小田凱人が金メダル 車いすテニス【詳しく】(2024年9月8日『NHKニュース』)

パリパラリンピック車いすテニスの男子シングルスの決勝で、初出場の18歳、小田凱人(おだ・ときと)選手が、世界ランキング1位の選手にフルセットのすえに競り勝って、金メダルを獲得しました。
小田選手は第1セットを6-2、第2セットは奪われましたが、第3セットを7-5でとり、セットカウント2対1で勝ちました。

記事後半では試合の詳しい経過をお伝えしています。

車いすテニス 男子シングルス 決勝

小田凱人
日本
2   1 ヒューウェット
イギリス
6 第1セット 2
4 第2セット 6
7 第3セット 5

NHKプラスで配信中】(2024年9月15日まで)↓↓↓ NHKプラスで配信中】

7日に行われた男子シングルスの決勝は、ともに、これまで1セットも落とさずに勝ち上がってきた世界2位の小田選手と、世界1位でイギリスのアルフィー・ヒューウェット選手の顔合わせとなりました。

小田選手は持ち味の力強いショットと多彩なサーブで主導権を握り、試合開始直後から4ゲームを連続で奪うなどして、第1セットを6-2で取りました。

第2セットに入ると、相手のショットの精度が上がるとともに、小田選手の単純なミスが増え、第4ゲームではデュースが10回続くなど、激しい攻防になったすえに、このセットを4-6で奪い返されました。

小田選手は最終の第3セットも、相手に先にリードされる苦しい展開となり、ゲームカウント3-5で迎えた第9ゲームは、マッチポイントまで追い込まれましたが、直後に相手がドロップショットをミスするなどして、窮地を脱しました。

小田選手はこのあと再び勢いを取り戻し、力強いバックハンドを効果的に決めるなどして一気に逆転して、第3セットを7-5で取り返しました。この結果、小田選手はセットカウント2対1で勝って金メダルを獲得しました。

勝利を決めたあと、小田選手はコートに倒れ込んで目に涙を浮かべ、ヒューウェット選手と抱き合いながら、お互いをたたえ合っていました。

  • 注目

小田凱人「金メダルを取るために生まれてきた」

 

初出場で金メダルを獲得した18歳の小田凱人選手は、試合直後のインタビューでまず「やばい、かっこよすぎる、おれ」と、興奮を隠しきれない様子で話しました。そして「正直、負けると思っていたが、相手がマッチポイントでドロップショットをミスしたときに、『勝てる』と思った」と試合を振り返りました。
そのうえで「おれは優勝するため、金メダルを取るために生まれてきた」と、終始、興奮気味に話していました。

地元 愛知 一宮市でパブリック・ビューイング

 

車いすテニスの男子シングルスで金メダルを獲得した小田凱人選手の出身地、愛知県一宮市では市役所でパブリック・ビューイングが行われ、友人や地元の人などおよそ250人が集まりました。
会場では小田選手がポイントを奪うたびに、大きな歓声が上がり、逆転して金メダル獲得を決めると、会場は大歓声に包まれました。

小田選手と小学校と中学校で同級生だった男性は「追い込まれたときも凱人ならひっくり返せると信じていました。活躍している姿を見て本当に誇らしいです」と話していました。50代の女性は「一宮市の誇りです。車いすテニスをもっと盛り上げて、地元を明るく元気にしてほしいです」と話していました。

 

==詳しい試合経過==

 

《第1セット》

 

日本時間22:20ごろ

【試合開始】小田のサービスゲームで開始

車いすテニスの男子シングルス決勝、小田凱人選手とアルフィー・ヒューウェット選手の試合は、日本時間の午後10時20分ごろ、小田選手のサービスゲームで始まりました。

【第1ゲーム】小田 1-0 ヒューウェット

 

第1セットの第1ゲームは相手にブレークポイントをとられる場面があったものの、小田選手がとりました。

  • 注目

第1ゲーム後 相手がメディカルタイムアウト

試合は第1セットの最初のゲームから、デュースが5回続く激しい攻防となりましたが、小田選手がサービスゲームをキープして、1-0とリードしました。ヒューウェット選手は、プレー中にもものつけ根あたりを押さえて痛みをこらえるような表情を見せていて、第1ゲームのあとにメディカルタイムアウトを取って治療に入りました。

【第2ゲーム】小田 2-0 ヒューウェット

第1セットの第2ゲームは小田選手が鋭いリターンを決め、相手に得点を与えずラブゲームでとりました。

【第3ゲーム】小田 3-0 ヒューウェット

ヒューウェット選手が治療から戻って試合が再開したあと、小田選手は第2ゲームで積極的に前に出てブレークに成功し、続く第3ゲームも冷静にサービスゲームをキープして、3‐0とリードを広げました。

【第4ゲーム】小田 4-0 ヒューウェット

第1セットの第4ゲームは小田選手が相手のサービスゲームをブレークし、4ゲーム連続でとりました。

【第5ゲーム】小田 4-1 ヒューウェット

 

第1セットの第5ゲームは相手のブレークを初めて許し、ゲームカウントを4-1としました。

 

【第6ゲーム】小田 5-1 ヒューウェット

第1セットの第6ゲームは小田選手が相手のサービスゲームをブレークし、ゲームカウントを5-1としました。あと1ゲームをとれば第1セットを奪います。

【第7ゲーム】小田 5-2 ヒューウェット

第1セットの第7ゲームは小田選手がサービスゲームをブレークされ、ゲームカウントを5-2としました。

  • 注目

【第8ゲーム】小田 6-2 ヒューウェット 第1セットを先取

 

第1セットの第8ゲームは小田選手がブレークし、第1セットは、小田選手が6-2で取りました。

小田選手は、試合開始直後から多彩なサーブと力強いショットで主導権を握り、4ゲームを連取しました。そのあとは互いのサービスゲームをブレークし合う展開となり、第8ゲームは、ラインのぎりぎりにリターンエースを決めて、第1セットを奪いました。

《第2セット》

 

【第1ゲーム】小田 1-0 ヒューウェット

第2セットの第1ゲームは小田選手がサービスゲームをキープしました。

【第2ゲーム】小田 1-1 ヒューウェット

第2セットの第2ゲームは相手がサービスゲームをキープし、ゲームカウントを1-1としました。

【第3ゲーム】小田 2-1 ヒューウェット

 

第2セットの第3ゲームは小田選手がサービスゲームをキープし、ゲームカウントを2-1としました。

 

【第4ゲーム】小田 2‐2 ヒューウェット

第2セットの第4ゲームは、デュースが10回続く接戦のすえ、ヒューウェット選手がキープし、ゲームカウントを2-2としました。

 

【第5ゲーム】小田 3-2 ヒューウェット

第2セットは、第1ゲームから互いにサービスゲームをキープし合う展開で第5ゲームは小田選手がキープし、ゲームカウントは3-2となっています。

【第6ゲーム】小田 3‐3 ヒューウェット

第2セットの第6ゲームは相手がサービスゲームをキープし、ゲームカウントを3-3としました。

【第7ゲーム】小田 4-3 ヒューウェット

 

第2セットの第7ゲームは小田が相手に得点を許さず、ゲームカウントを4-3としました。

【第8ゲーム】小田 4‐4 ヒューウェット

第2セットの第8ゲームは相手がサービスゲームをキープし、ゲームカウントは4-4となりました。

  • 注目

【第9ゲーム】 小田 4‐5 ヒューウェット 小田ブレークされる

第2セットの第9ゲームは小田選手のサービスゲームでしたが相手にブレークされました。ゲームカウントは4‐5となりリードされました。

  • 注目

【第10ゲーム】小田 4‐6 ヒューウェット 第2セット奪われる

 

第2セットの第10ゲームは相手がサービスゲームをキープしてゲームカウント4-6となり、第2セットは相手がとりました。
セットカウント1対1となって、最終の第3セットにもつれ込みました。

ゲームカウント4-4で迎えた第9ゲームで、小田選手はこのセットで初めて相手にサービスゲームをブレークされ、そのままセットを落としました。

このセットは、小田選手の単純なミス「アンフォーストエラー」が増え、第1セットの5つに対して第2セットは14でした。

《第3セット》

 

 

【第1ゲーム】小田 0‐1 ヒューウェット

最終第3セットの第1ゲームは小田選手がサービスゲームをブレークされゲームカウント0‐1となりました。

 

【第2ゲーム】小田 1‐1 ヒューウェット

最終第3セットの第2ゲームは今度は小田選手が相手のサービスゲームをブレークし、ゲームカウント1-1としました。

 

【第3ゲーム】小田 1‐2 ヒューウェット

最終第3セットの第3ゲームは小田選手がサービスゲームをブレークされ、ゲームカウント1-2とされました。

  • 注目

【第4ゲーム】小田 1-3 ヒューウェット

金メダルがかかる最終の第3セットは、第3ゲームまで、両選手が互いに相手のサービスゲームをブレークしあいました。そして第4ゲームは、小田選手がヒューウェット選手に、このセットで初めてサービスゲームをキープされ、1-3とリードされました。

 

【第5ゲーム】小田 2-3 ヒューウェット

最終第3セットの第5ゲームは小田選手がサービスゲームをキープしてゲームカウント2-3としました。

 

【第6ゲーム】小田 2-4 ヒューウェット

最終第3セットの第6ゲームは相手がサービスゲームをキープして、ゲームカウント2‐4とされました。

 

【第7ゲーム】小田 3‐4 ヒューウェット

最終第3セットの第7ゲームは小田選手がサービスゲームをキープして、ゲームカウント3‐4としました。

 

【第8ゲーム】小田 3-5 ヒューウェット

最終第3セットの第8ゲームは相手がサービスゲームをキープして、ゲームカウント3-5とされました。

 

【第9ゲーム】小田 4‐5 ヒューウェット

最終第3セットの第9ゲームは小田選手がなんとかサービスゲームをキープして、ゲームカウント4-5としました。

 

【第10ゲーム】小田 5-5 ヒューウェット

最終第3セットの第10ゲームは小田選手が相手のサービスゲームをブレークし、ゲームカウント5-5で追いつきました。

 

【第11ゲーム】小田 6-5 ヒューウェット

最終第3セットの第11ゲームは小田選手がサービスゲームをキープしゲームカウント6-5としました。

  • 注目

【第12ゲーム】小田 7‐5 ヒューウェット 小田が金メダル

 

最終第3セットの第12ゲームは小田選手が相手のサービスゲームをブレークして第3セットを獲得し、セットカウント2対1で金メダルを獲得しました。

小田選手は自ら車いすの車輪をとって、コートに倒れこんで喜びを表しました。

 

《見どころ》

男子シングルスの決勝は、初出場のパラリンピックで金メダル獲得を目指す18歳の小田凱人選手が、イギリスのアルフィー・ヒューウェット選手と対戦します。

世界ランキング2位の小田選手は、準決勝までの4試合を1セットも落とさず、勝ち上がってきました。去年とことしの全仏オープンで2連覇を果たした会場で、小田選手は決勝に向けて「彼に勝つためにここに来た。彼との決勝を求めてきたのですごく楽しみだし、負ける気がしない」と話しています。

また、前日のダブルス決勝で敗れたヒューウェット選手と再び相まみえることについて「これまでも、ダブルスで負けたあとにシングルスの決勝に臨むという場面をたくさん経験してきたので、すべてをぶつけたい」とリベンジを誓っていました。

一方、対戦するヒューウェット選手は世界ランキング1位の26歳。ことし7月のウィンブルドン選手権を制して「生涯グランドスラム」を達成しました。長く世界の第一線で活躍を続け、去年、引退した国枝慎吾さんとも幾度にわたって、激闘を繰り広げています。

小田選手とヒューウェット選手の対戦成績は、小田選手が7勝8敗とほぼ互角ですが、直近の対戦では2連勝しています。

過去3大会にわたって、国枝さんが金メダルを獲得してきたパラリンピックの男子シングルスで、小田選手が国枝さんの偉業を引き継げるのか、注目されます。

《今大会 小田選手 男子シングルス成績》

 

▽2回戦:○2-0 B.バートラム(イギリス)
▽3回戦:○2-0 D.ロドリゲス(ブラジル)
▽準々決勝:○2-0 T.エフベリンク(オランダ)
▽準決勝:○2-0 G.フェルナンデス(アルゼンチン)

あわせて読みたい