元大阪府知事で弁護士の橋下徹さんは5日、日本テレビ系情報番組「ミヤネ屋」にゲスト出演し、大阪府の吉村知事らから聞いたという兵庫県・斎藤元彦知事の役人時代の顔を紹介するとともに、選挙の際に推薦した日本維新の会の慌てぶりを明かした。
◆「ゼロ回答」も埋まる外堀…斎藤知事を取り巻く状況【画像】
橋下さんは「吉村さん、松井さんが言うには、自分の部下として斎藤さんが働いていた時、『こんな人物だと思わなかった』と。課長時代は、こんなところをみじんも見せないように誠実に仕事をやってたそうなんです。知事になってからこうなった。怖くないですか」と、権力を手にして豹変した姿に恐ろしさを感じたようで首をかしげた。
橋下さんは「うそ八百発言」を聞いて斎藤知事の人間性に気付いたそうだが、維新の執行部は本質に気付いていないと指摘した。
また番組の中で橋下さんは、兵庫県の維新は最初は同知事を守ろうとしたが、いま内部で割れはじめているとした。
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、5日に開かれた県議会調査特別委員会(百条委員会)で、告発者の処分に向けた県の内部調査に協力した弁護士が証人として出頭した。弁護士は「(告発文書は)不利益取り扱いが禁止される外部通報ではない」とし、処分は正当だったとの見解を示した。一方で内部調査については、自身が県から依頼されている立場であることなどから、広く県民から納得されるような「客観性はない」と認めた。
告発文書を作成した県西播磨県民局長だった男性(60)は、同月4日に県の公益通報窓口に告発文書と同様の内容を通報。その後、人事課から「内部通報に関わらず、処分できるか」と相談があり、藤原氏は、文書に真実だと信じる相当な理由がなく、告発者の利益を守る対象ではないため、「処分は可能」という趣旨の回答をしたという。
真実相当性がないと判断したのは、「(告発文書が)居酒屋などで聞いた単なる噂話で作成された」ためだと説明。告発内容が噂話を基にしているかどうかは、人事課から提示された資料を基に判断したとし、斎藤氏へ聴き取りはしたものの、文書全般の記載内容の真偽について自ら調査したことはないとした。
藤原氏は尋問で、調査について「(処分後に)裁判にも耐えられるだけの調査が行われたという意味で客観性がある」と強調した。一方で委員から、弁護士は依頼者である県の利益を最優先するため、「広く県民が納得するような客観性はないのではないか」と指摘されると、「客観性の意味の捉え方次第で、そういう意味で考えるのであれば客観性はないということになる」と述べた。
【ニュース裏表 安積明子】
【写真】斎藤知事が自身のインスタグラムに投稿した散髪後の自撮り
2021年8月に初当選した当初、斎藤知事について、「知事室に籠っている」という話を聞いた。総務省から出向して、大阪府財政課長を務めていた40代の元官僚が大きな権限を有する知事になったのだから、戸惑っていたとしても無理はない。
その維新と一部の自民党の推薦を得て当選した斎藤知事は「高級公用車の見直し」など、維新に習った「身を切る改革」を実行した。大阪を意識した県立大学・大学院の授業料無償化なども推進した。だが、同時に「専制君主」化していったともされる。
2時間半に及んだ百条委員会では、出張先で公用車から約20メートル歩かされただけで出迎えた職員を怒鳴り散らしたとされる問題や、夜中や休日など時間を問わず部下にチャットで指示を出していた問題が取り上げられた。
斎藤知事は3月27日の記者会見で、この元局長について「噓八百」「公務員失格」などと指弾し、懲戒処分をほのめかした。その直前に、元局長はパソコンを押収されたばかりだった。
24年1月1日施行の「兵庫県懲戒処分指針」では、懲戒処分の公表は「処分を行った後」となっている。人事課は「処分については申し上げられないとだけ伝えてください」との想定問答を渡していたのだが、斎藤知事は感情をむき出しにした形だ。
「身を切る改革」より「腹を切る覚悟」を―。543万の兵庫県民の多くも、それを切に願っているのではないか。 (政治ジャーナリスト 安積明子)
兵庫県の斎藤元彦知事の疑惑が文書で告発された問題を巡る5日の県議会調査特別委員会(百条委員会)で、県産業労働部長の原田剛治氏が証人として出頭した。原田氏は文書の存在を把握した知事が、県幹部らと対応を協議した場に同席。知事から作成者の特定などの指示があったと証言した。
原田氏は、文書にも名前が記載されている知事の側近の一人。証言などによると、斎藤氏は、県西播磨県民局長だった男性(60)が文書を作成、配布した後の3月20日に文書の存在を把握。翌21日夕に、文書に名前が挙がった元副知事の片山安孝氏、前理事の小橋浩一氏、前総務部長の井ノ本知明氏、原田氏の5人が知事室で文書について協議したという。
原田氏はその際、「みんなで元局長じゃないかと話したことを覚えている。われわれの名前や人事の話もあって総合的に元局長ではないかと推測した」と言及。「文書の内容がほんまかなというのを抑えていこうという話になった」「そのときは(職員の)メールを調べることになった」と述べ、誰からの指示かとの問いには「知事からの」などと証言した。
兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ疑惑などが文書で告発された問題を巡り、5日に開かれた県議会調査特別委員会(百条委員会)で、告発者の処分に向けた県の内部調査に協力した弁護士が証人として出頭した。弁護士は「(告発文書は)不利益取り扱いが禁止される外部通報ではない」とし、処分は正当だったとの見解を示した。一方で内部調査については、自身が県から依頼されている立場であることなどから、広く県民から納得されるような「客観性はない」と認めた。
告発文書を作成した県西播磨県民局長だった男性(60)は、同月4日に県の公益通報窓口に告発文書と同様の内容を通報。その後、人事課から「内部通報に関わらず、処分できるか」と相談があり、藤原氏は、文書に真実だと信じる相当な理由がなく、告発者の利益を守る対象ではないため、「処分は可能」という趣旨の回答をしたという。
真実相当性がないと判断したのは、「(告発文書が)居酒屋などで聞いた単なる噂話で作成された」ためだと説明。告発内容が噂話を基にしているかどうかは、人事課から提示された資料を基に判断したとし、斎藤氏へ聴き取りはしたものの、文書全般の記載内容の真偽について自ら調査したことはないとした。
藤原氏は尋問で、調査について「(処分後に)裁判にも耐えられるだけの調査が行われたという意味で客観性がある」と強調した。一方で委員から、弁護士は依頼者である県の利益を最優先するため、「広く県民が納得するような客観性はないのではないか」と指摘されると、「客観性の意味の捉え方次第で、そういう意味で考えるのであれば客観性はないということになる」と述べた。
兵庫県の斎藤元彦知事は5日午前、報道陣の取材に応じた。斎藤氏は、男性の処分を巡る一連の対応について百条委で専門家から公益通報者保護法違反と指摘された点について「内容を承知していないのでコメントは難しい」とし、「今回の処分は裁判になっても対応できるようにやってきたので、私としては問題ないと思っていた」と述べた。