子どもの支援活動をする非政府組織(NGO)「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」(東京都千代田区)は29日、能登半島地震で被災した子どもたち約2000人へのアンケート結果を発表した。「復興がおそい」「夜眠れてません」「見捨てないでほしい」といった切実な意見が多く寄せられた。団体は結果を石川県教委に提出し、子どもの声を復興計画に生かすよう求めている。(谷口大河)
アンケート結果を石川県教委の担当者㊧に手渡す「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」の担当者たち=29日、石川県庁で
◆「東京や大阪で起こったら、こんなに遅いわけがない」
自由記述の設問では「珠洲を離れた子達(たち)と、大きな学力の差ができてしまった」といった不安のほか、「東京や大阪で起こったのなら、こんなに復興が遅いわけがないだろう」などの不満の声が目立った。「ひさいして、体ちょうがわるくなりやすくなった」といった心身の不調を訴える子どももいた。
また、「大人や社会に伝えたいことがあるか」との問いに817人(39.8%)が「いいえ」と回答。「話しても何も変わらない」「何を話したらいいかわからない」などの理由が挙げられた。
◆6割超の子どもが復興への活動に意欲
一方、1313人(64%)が復興に向けた活動に参加する意欲を見せた。「自分の住むまちのために何かしたいこと」の設問で、自宅の片付けや仮設住宅での手伝い、募金といった選択肢を選んだ。
アンケートを実施したことについて「気持ちが少し楽になった」「意見を言えるのが嬉(うれ)しかった」などの回答があった。団体の担当者は「子どもが話をできる環境や機会を整え、意見を復興計画に反映してほしい」と訴えた。
この日は担当者が県庁を訪れ、結果を県教委に届けた。こども家庭庁や能登地方の5市町にも提出する。結果は「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」のウェブサイトで公開している。
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◆「過去の災害と比べ、風化を心配する声が多い」
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、2011年の東日本大震災や18年の西日本豪雨の被災地でも同様のアンケートを実施してきた。質問内容や実施時期などが異なるため、単純な比較はできないが、団体の担当者は「過去の災害よりも風化を心配する声が多いという印象を受けた」と話した。
「目をそむけないでほしい。見捨てないでほしい」「じしんのことがニュースにでにくくなっている」といった回答を例に挙げ、「復興の遅れに対する子どもたちの怒りや悲しみが多かった」と総括する。「(半年の時点では)意見をまとめられていなかった子どももいるだろう。教育現場などでも声を聞く活動を考えてほしい」と求めた。