兵庫県の斎藤知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、すべての県庁職員を対象に行われたアンケートの中間報告が23日に公表されました。

兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、事実関係の調査を進めている県議会の百条委員会は、先月末からすべての県庁職員を対象にアンケートを行いました。

今月5日までに全体の半数近くにあたる4500人余りの職員から回答が寄せられていて、23日、その集計結果が中間報告として百条委員会に示されたあと、公表されました。

それによりますと、斎藤知事のパワハラの疑いを見聞きしたことがあると回答した人は、およそ4割にあたる1750人(38.3%)でした。

自由記述欄には「公用車内で知事が激怒し、前部座席を蹴った」、「机をたたいて怒り出す」、「知事が出席するイベントや行事にマスコミが来ないと怒る」などの内容がありました。

また、知事が贈答品を受け取っている疑いを見聞きしたことがあると回答した人は946人(20.7%)で、自由記述欄には「40万円相当の革ジャンを試着し、『これはいい。もらえないか』と知事がおねだり」、「両手で抱えきれない量のかきを全部1人で持って帰った」などの内容がありました。

このほか「受け取りを拒否した職員分のカニも知事が持ち帰ったと聞いた」、「『その靴ほしいです。白い靴がほしいです』と発言した面談記録を読んだ」などといった内容もありました。

ただ、回答は人づてに聞いたことをもとに書かれているものも多いということで、百条委員会は知事や職員の証人尋問で事実関係を尋ねるなど、調査の参考資料として取り扱うことにしています。

斎藤知事「多くの職員が回答 大変残念な思い」

アンケートの中間報告が公表されたことを受けて、兵庫県の斎藤知事は記者団に対し「個々の事案の内容は詳細に承知していないが、特にパワハラについては『人づてに聞いた』などの回答がおよそ4割にのぼっている。『県政をよりよくしていく』と3年間、必死でやり、必要な指示や指導をしたが、これだけ多くの職員が回答している事実に接し、大変残念な思いだ」と述べました。

その上で「職員の受け取り方とずれが生じたことで、不快な思いや負担をかけたことは重く受け止めなければならないし、真摯(しんし)に反省して改めていくことが大事だ。日々の業務の中では、職員への感謝の気持ちやねぎらいを積極的に伝えている」と述べました。

百条委員会で証人尋問 県職員6人が出席 

兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラの疑いなどを告発する文書をめぐって、県議会は、地方自治法にもとづく百条委員会を設置して事実関係の調査を進めています。

23日は初めての証人尋問が行われ、県の職員6人が出席しました。百条委員会は原則、公開することになっていますが、23日の尋問は証言する職員の心理的負担などを考慮し、非公開で行われました。

委員会のあと、奥谷謙一委員長らが記者会見し、証人尋問の内容を説明しました。

それによりますと、斎藤知事のパワハラの疑いをめぐっては出席者から「パワハラを受けた」という明確な証言はありませんでしたが、「叱責や舌打ちがあった」「最高幹部が文具を投げられた」という証言があったということです。

また、来週30日の斎藤知事の証人尋問はインターネット中継を含めて全面公開で行うことを明らかにしました。

県市長会が要望書「県政が混乱し 大きく停滞」

兵庫県の元局長が作成した斎藤知事にパワハラの疑いがあるなどと告発する文書をめぐって県市長会は県庁を訪れ、斎藤知事に要望書を手渡しました。

要望書では一連の県の対応について「県政が混乱し、大きく停滞していることは危機的とも評される」としています。

その上で「告発文書を公益通報者保護の対象とせず、十分な調査も尽くさず元局長を懲戒処分にしたことは多くの市長から不適切だと指摘があった」として、県政の混乱を収束させるため最善の努力をするよう求めています。

斎藤知事は要望書を受け取り、「心配をいただいていることに改めておわびを申し上げたい」と述べました。このあと、斎藤知事は記者団に対し「指摘は真摯(しんし)に受け止めるが、県としては適切に対応してきたと考えている」と述べました。

県市長会の会長を務める丹波篠山市の酒井隆明市長は記者会見で「知事が自分の対応に追われて、県政を引っ張っていくリーダーシップを発揮できない状況にあることを大変、懸念している。百条委員会の調査ができるだけ早期に適切になされることを期待する」と述べました。

県民「事実をつまびらかにして」

斎藤知事に関する疑いをめぐって県内では、事実関係を明らかにしてほしいという声が多く聞かれました。

このうち20代の大学生は「疑惑になっているようなことをしていないなら、解明したほうがいいし、事実なら潔く認めたほうがいいと思う」と話していました。

40代の会社員の男性は「まわりがついてこないような状況では、政策を進めるにしても影響が大きいのではないか。まっとうな政治をしてほしい」と話していました。

60代の女性は「県政が止まっているように見えるので、県民が納得するような形で事実をつまびらかにしてほしい。人の命はすごく大事だし、公務員は一生懸命働いているので、みんなが幸せになれたらと思っている」と話していました。