映画「アウトレイジ最終章」のDVDジャケット
自民党は21日、党総裁選(9月12日告示―27日投開票)の宣伝ポスターを発表した。「時代は『誰』を求めるか? THE MATCH」のキャッチコピーの周囲に、初代総裁の鳩山一郎氏から現職の第27代岸田文雄首相まで26人(安倍晋三氏が2回)の顔をコラージュしたデザイン。
平井卓也広報本部長は発表会見で「単なる党のリーダーではなく、日本のリーダーを決める。日本の未来を切り開いていく党の覚悟を示した」と説明。26人の顔の大きさ、配置については「総裁在任期間を基本に、現在の認知度も考慮しながら決めた」とした。在任期間は安倍氏が3260日でトップ。キャッチコピーの上で“一等地”に起用された。
総裁選には、次男の小泉進次郎元環境相が立候補の意向を周囲に伝達。永田町関係者は「進次郎氏が出馬する総裁選のポスターで、父親の純一郎氏があんなベストポジションを占めるのは問題じゃないか、不公平ではないかという声もあります」とデザインに波紋が広がっているとした。
「自民党をぶっ壊す」のフレーズを掲げ総裁の座に就いた純一郎氏は、改革の目玉とした郵政民営化関連法案が参院本会議で自民党議員の大量造反で否決されると、衆院の解散を強行。“小泉劇場”として、有権者に強烈な印象を与えた。SNS利用者を対象に昨年行われた、最近の首相の好感度調査でも純一郎氏は1位。いまだ高い人気を誇る。
その純一郎氏が、今回の総裁選で最も注目を集める進次郎氏の応援に入り、ツーショットで演説などすればインパクトは大きい。報道機関が取材に殺到することも考えられ、そうなれば結果的に進次郎氏の露出も増える。
実績、経験不足の進次郎氏には「知名度はあっても、他の総裁候補との論戦になれば弱い」という懸念がついてまわる。一方で純一郎氏は言葉巧みな答弁や演説で世の中の流れを変えることもお手の物だ。ほかの総裁候補には脅威となる。ポスターでにこやかに手を振るこの姿が、再び見られるのか。総裁選の行方を左右する存在になりそうだ。