台風5号 12日ごろ東北に接近上陸か きょうのうちに備えを(2024年8月10日『NHKニュース』)

台風5号は日本の東の海上を北上していて、12日・月曜日ごろに暴風域を伴ったまま東北にかなり接近し上陸するおそれがあります。

東北の太平洋側を中心に大雨となるおそれがあり、気象庁は土砂災害や低い土地の浸水、川の増水、氾濫などに厳重に警戒するよう呼びかけています。

東北の太平洋側 平年の8月1か月分超えるおそれ

気象庁によりますと、台風5号は日本の東の海上を暴風域を伴いながら北上しています。

このあとしだいに進路を西寄りに変えて、12日・月曜日ごろには暴風域を伴ったまま東北にかなり接近し、上陸するおそれがあります。

台風の接近に伴って、北日本では11日は雷を伴って断続的に激しい雨が降るおそれがあります。

東北では、
▽11日昼まで24時間に降る雨の量が多いところで120ミリ、
▽12日昼までの24時間には300ミリと予想されています。

その後も雨量は増え、13日・火曜日の昼までの24時間には150ミリの雨が降る見込みで、東北の太平洋側では平年の8月1か月分を超えるおそれがあります。

東北と北海道の海上はうねりを伴ってしける見込み

また、北日本を中心に風が強まり、11日は非常に強い風が吹く見込みです。

▽最大風速は東北で25メートル、北海道で15メートルで、
▽最大瞬間風速は東北で35メートル、北海道で25メートルに達すると予想されています。

東北と北海道の海上はうねりを伴ってしける見込みで、東北では7メートルと大しけが予想されています。

自宅周辺リスクをハザードマップで確認を

気象庁は土砂災害や低い土地の浸水、川の増水、氾濫、暴風に厳重に警戒するとともに高波に警戒するよう呼びかけています。

▽自宅周辺のリスクをハザードマップで確認したり
▽避難場所を検討したりするほか、
▽避難の際に持ち出す物を用意するなど雨や風が強まる前の10日のうちに備えを済ませるようにしてください。

“太平洋側に上陸” 過去には高齢者施設で9人死亡の被害も

気象庁によりますと、台風が東北の太平洋側に上陸したのは、1951年に統計を取り始めて以降、
▽2016年8月に岩手県大船渡市付近に上陸した台風10号と、
▽2021年7月に宮城県石巻市付近に上陸した台風8号の2例です。

日本に近づく台風は、太平洋高気圧の縁をまわる風に沿って北上したあと偏西風の流れに乗って北東へ進むケースが多い一方、8年前の台風10号は、複雑な進路をとったあと岩手県に上陸しました。

この台風で岩手県久慈市では1時間に80ミリの猛烈な雨を観測するなど東北と北海道を中心に広い範囲で記録的な大雨となりました。

岩手県岩泉町では小本川が氾濫し、高齢者グループホームでお年寄り9人が死亡するなど、岩手県と北海道で死者・行方不明者はあわせて27人にのぼりました。

また、3年前の台風8号でも栃木県茂木町で1人が亡くなりました。

当初は北上していく予想が西寄りに 要因は

気象庁によりますと、台風5号の進路が西寄りに変わった要因は、日本のはるか東にある高気圧が北日本付近に張り出すタイミングがずれたことです。

この高気圧は、日本の上空を流れる偏西風が北に蛇行する影響で北日本付近に張り出しを強めると予想されていて、当初はその前に台風が北上していくとみられていました。

しかし、高気圧が先に張り出す見通しとなった結果、台風は進路を阻まれ、西寄りに進む予想に変わったということです。

気象庁は、最新の情報を確認するとともに、影響が出る前に早めに備えを進めるよう呼びかけています。

【動画】気象予報士 解説 今後の見通しと備え

今後の台風の見通しと備えについて、片山美紀 気象予報士の解説です。

漁師が船を陸揚げ 台風に備える 宮城 

台風5号北日本に接近していることを受け、宮城県南三陸町の漁港では漁師たちが船を陸に揚げるなど備えに追われていました。

南三陸町志津川の漁港では10日、時折小雨が降る中、漁師たちが船を岸壁に対して垂直に係留したり、フォークリフトで陸に揚げたりしていました。

海がしけて船が岸壁にぶつかる影響を少しでも小さくするための対応で、50代のカキ漁師は「このあたりに台風が直撃したことはあまり例がなく、どうなるかわからないので万全を期すことにしました。養殖施設も心配で被害が出ないでほしい」と話していました。

第2管区海上保安本部は近年、台風などの影響で係留中の船が漂流したり、転覆したりする事故が多発しているとして、船の係留の強化や陸揚げなど、事前の対策を行うよう呼びかけています。