旧優生保護法のもとで不妊手術を強制されたとして、静岡県内に住む2人の女性がそれぞれ国を訴えた裁判で、いずれも9月にも和解が成立する見通しになりました。
旧優生保護法のもとで障害などを理由に不妊手術を強制された人たちが国に賠償を求めた裁判のうち、静岡県内に住む聴覚障害のある80代の女性が起こした裁判は、去年2月、1審の静岡地方裁判所が女性に1650万円を支払うよう国に命じ、国側が控訴しました。
そして、2審の東京高等裁判所で9月13日に判決が言い渡されることになっていました。
また、視覚に障害がある浜松市の武藤千重子さん(75)が国に賠償を求めた裁判では、ことし5月、静岡地方裁判所浜松支部が原告に1650万円を支払うよう国に命じ、国側が控訴していました。
2人の弁護士によりますと、2つの裁判について、9日、国側から弁護団に和解の意向が伝えられたということで、弁護団は来月の和解の成立を目指して調整を進めるということです。
旧優生保護法をめぐっては、最高裁判所大法廷が7月、別の被害者の裁判で憲法違反だったとして国に賠償を命じる判決を言い渡し、これを受けて国は全国で続いている裁判について、速やかな和解の実現を目指す方針を示していました。
旧優生保護法 強制不妊手術を福井県が当事者に謝罪~聴覚障害70代女性「他の被害者にも謝罪を」(2024年8月10日『福井放送』)
先月、最高裁大法廷が旧優生保護法の下での強制不妊手術を憲法違反と判断したことを受けて9日夜、福井市内でシンポジウムが開かれ、県内出身の被害者の女性に県が謝罪しました。
シンポジウムのゲストには強制不妊手術をめぐる裁判で今年1月、大阪高裁で逆転勝訴した県内出身の聴覚障害者の70代女性が招かれ、県健康福祉部の小田英子副部長が「県も一端を担ってきた」ことに謝罪しました。
この被害者の女性は1974年に事情が分からないまま不妊手術を受けさせられたことや裁判に必要な診断書の記入を医師に拒否された体験を語り「原告だけではなく他の被害者にも謝ってほしい」と強調しました。県の記録では旧優生保護法の下、県内では75人に強制不妊手術が行われたというこです。