「学歴差別」と取られかねない発言、市長の辞職勧告決議案を可決…失言・不適切発言は約10件(2024年7月21日『読売新聞』)

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不適切発言を受け、自らの処分を発表する中川市長(8日、新潟県上越市役所で)
 
 新潟県上越市の中川幹太市長が企業誘致を巡り学歴差別と取られかねない不適切発言をした問題で、市議会は19日、市長への辞職勧告決議案を賛成多数(反対は、みらい」4人と「公明」2人)で可決した。
 決議に法的拘束力はないが、中川市長は報道陣に対し、「非常に重く受けとめている。どのような形になるかわからないが、進退は自分で判断しなければならない」と語った。判断の結果は後日表明するという。
 決議案を提出した市議は提案理由で、中川市長は不適切発言を繰り返してきたと指摘し、「本質的に偏見や差別意識を持っているのではないかとさえ感じる」と主張した。
 市は同日の市議会総務常任委員会で、中川市長のこれまでの失言や不適切発言は約10件に上ると明らかにした。
 中川市長はこれまで、公約実現に向け任期を全うするとして、辞職を繰り返し否定。自らの給料を7月から5か月間、全額カットするとの処分案を発表していた。
 だが、この日の臨時会では、辞職勧告決議案の採決に先立ち、市長の給料カットを実施するための条例改正案が全会一致で否決された。


発議案第9号
中川幹太市長に対する辞職勧告決議について
中川幹太市長に対する辞職勧告に関し、別紙のとおり決議するものとする。
令和6年7月19日
提出者 上越市議会議員 橋 本 洋 一
賛成者 同 伊 﨑 博 幸
  同 同 宮 﨑 朋 子
    同 同 宮 越 馨
  同 同 丸 山 章
同 同 小 林 和 孝
  同 同 滝 沢 一 成
  同 同 上 野 公 悦
中川幹太市長に対する辞職勧告決議
中川幹太市長は、就任以来、度々、不適切発言や不当な発言を繰り返し、その都度、謝罪、釈明及び撤回を行ってきた。市民の期待と信頼を裏切る言動は目に余るものがある。
具体的には、令和4年4月の若手経営者グループとの意見交換会における高田・直江津の中心市街地・商店街に関する発言、令和5年7月の県内経済団体との会合における市内の私立高校に関する発言、令和6年6月の上越市議会6月定例会一般質問における市内事業所及び市民に対する発言などが挙げられる。
不適切な発言や不当な発言で市民に心痛や不快感を与えながら、その都度、反省を口にしているが、反省を次に活かす、教訓とするという姿勢が見えないまま、今日に至っていることは、中川幹太市長が本質的に偏見や差別意識を持っているので
はないかとさえ感じることを禁じ得ない。
県内第三の都市である上越市のトップとして、また、市民の模範となるべき立場にある市長として、市政の混乱と市民の信頼を失墜させたことに対する政治的、道義的な責任は免れ得ないものであり、市民のために一日も早く市政を通常の姿に戻
さなければならない。よって、上越市議会は中川幹太市長に対して速やかに職を辞することを勧告する
ものである。
以上、決議する。
令和6年7月19日
上 越 市 議 会 
 
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市長プロフィール
生年月日
昭和50年6月20日
学歴
平成10年3月 広島大学工学部卒業
主な経歴
平成11年
 財団法人日本環境協会エコマーク事務局勤務
平成13年
 かみえちご山里ファン倶楽部事務局長就任
平成20年4月
 上越市議会議員
 上越市議会議員(2期)
平成30年11月~令和2年6月
令和3年11月9日
 上越市長就任
趣味
読書、映画鑑賞、登山

工場誘致巡り「頭のいい方だけが来るわけではない」発言、上越市長が5か月間の給料全額カット案(2024年7月9日『読売新聞』)
 
 新潟県上越市の中川幹太市長が学歴差別と取られかねない不適切発言をした問題で、中川市長は8日、7月から5か月間、自身の給料を全額カットするとの処分案を発表した。19日の市議会臨時会に関連議案を提出する。
 中川市長は記者会見で「辞職を求める声があることを重く受けとめ、私自身の覚悟を示すためには相当の処分が必要と考えた」と説明した。辞職して出直し選で信を問う考えがないか尋ねた質問には「地域自治や通年観光といった公約が道半ばであり、実現に向けてチャンスをいただきたい」と答えた。
 上越市長の給料は月額96万9200円だが、中川市長は人口減少対策への強い姿勢を示すとして15%減額しており、現行は同82万3820円。処分による減額分は約411万円となる。
 中川市長は先月18日の市議会で、企業誘致を巡り市内に工場がある大手化学メーカーを挙げ、「工場は高校を卒業したレベルの皆さんが働くことになる。頭のいい方だけが来るわけではない」などと発言。後に撤回して謝罪した。
 市によると、これまでに市に苦情や批判の電話やメールが市内外から約300件寄せられている。