堀井学衆議院議員の事務所などが捜索を受けた公職選挙法違反事件で、葬儀への対応を取り仕切っていた地元事務所の秘書が辞めた2年ほど前から、堀井議員がみずから香典を渡す相手や金額を秘書などに指示するようになっていったとみられることが関係者への取材でわかりました。東京地検特捜部は、押収した資料を分析するなどして、選挙区内で繰り返されていた違法な寄付の実態解明を進めるものとみられます。
東京地検特捜部は、18日公職選挙法に違反する形で選挙区内の人に香典を渡したり枕花を贈ったりしていた疑いがあるとして、東京・千代田区の衆議院第二議員会館にある堀井学議員(52)の事務所と港区の議員宿舎、それに北海道登別市にある地元事務所と自宅を捜索しました。
堀井議員は、強制捜査が始まったあと自民党を離党しました。
関係者によりますと、堀井議員は新聞のお悔やみ欄の情報などをもとに選挙区内で行われる葬儀の日程を把握し、自分名義の香典を渡す相手や金額を秘書などに指示していたということです。
こうした業務は、以前は地元事務所の秘書が担当していましたが、この秘書が辞めた2年ほど前からは、国会出席などのため地元を離れている時も堀井議員がみずから行うようになっていったとみられるということです。
選挙区内での違法な寄付はあわせて数十万円分になる疑いがあるということで、特捜部は、捜索で押収した資料を分析するなどして実態解明を進めるものとみられます。
香典疑惑 政治不信を加速させるな(2024年7月19日『産経新聞』-「主張」)
堀井氏は令和4年頃、選挙区内の有権者が関係する複数の葬儀で、秘書らを通じて堀井氏名義の香典を渡していた疑いがもたれている。金額は1万~数万円で、枕花を贈るケースもあった。
公選法では、政治家本人が弔問する場合にのみ香典を出すことが認められている。基本中の基本であり、知らなかったわけではあるまい。
堀井氏は秘書の反対を受け入れずに香典を出させていたという。公選法に抵触することを知っていながら、このような行為を繰り返していたとすれば、あきれるほかない。
特捜部は不記載事件の捜査の過程で、今回の事案を把握したとみられる。還流金が香典などの原資になった可能性もある。事実関係の徹底的な解明と刑事責任の追及を求めたい。
不記載事件の影響で政治に対する信頼は著しく失墜している。今回発覚した事態により、政治不信に拍車がかかることが予想される。
堀井氏は6月、不記載事件の責任を取り、次期衆院選への不出馬を表明したが、国民の負託を受けた政治家として、説明責任を果たさねばならない。自民も本人に対し説明を尽くすよう強く促すべきである。
「政治とカネ」を巡る不祥事が後を絶たない現実を、与野党の各議員はもっと深刻に受け止めてもらいたい。違法行為につながるあしき政治風土を徹底的に絶たない限り、信頼を取り戻せまい。