8年前、自宅で妻を殺害したとして殺人の罪に問われ、無罪を主張していた講談社の元編集次長に対するやり直しの審理で、東京高等裁判所は「妻が自殺したとする無罪主張は信用性に欠ける」として懲役11年の判決を言い渡しました。
元編集次長の母「残酷な判決」
判決のあと、朴元編集次長の家族や弁護士が都内で記者会見を開きました。
元編集次長の母は「息子は妻と仲がよく、子どもたちも大事にしていた。子どもたちはきょう、パパが家に戻ってくると信じていたが、判決の内容をどのように伝えたらいいのか分からない。あまりにも残酷な判決だ」と話しました。
山本衛弁護士は「元編集次長の供述が信用できないという点が強調され、それが有罪認定の中心になっていると疑わざるを得ない。非常に不当で憤りを感じる」と話し、上告する方針を明らかにしました。
刑事裁判の専門家「確実な事実から判断」
刑事裁判の経験が長い元裁判官の半田靖史弁護士は「『分からないことは分からない』という考え方を前提に、医学的にも根拠のある確実な事実から弁護側の自殺のストーリーがありえないと判断した。検察の立証が強かったので、弁護側の自殺の主張が相当現実的なものでないと、覆すのが難しかった」と指摘しています。