旧ジャニーズ事務所の創業者、ジャニー喜多川氏による性加害問題で、元所属タレント2人が滞在先のアメリカで喜多川氏から性的暴行を受け、身体的・精神的な苦痛を受けたなどとして、ジャニーズ事務所から社名を変えた会社などに対し、合わせて3億ドル、日本円で460億円余りを求める訴えをアメリカの裁判所に起こしました。
訴状によりますと、田中さんは、当時15歳だった1997年、喜多川氏とともにネバダ州ラスベガスを訪れた際、宿泊先のホテルで性的暴行を受けたとし、また飯田さんについても2002年、14歳のときに、同じホテルで喜多川氏から性的暴行を受けたとしています。
2人は、身体的・精神的な苦痛を受けたなどとして、現地時間の18日、ジャニーズ事務所から社名を変えた「SMILE-UP.」や旧事務所のタレントが所属する「STARTO ENTERTAINMENT」などに対し、合わせて3億ドル、日本円でおよそ460億円余りの賠償を求めています。
今回の訴えについて2人の代理人の弁護士はNHKの取材に対し、「ネバダ州では今回のケースは時効の対象にならないため、訴訟を継続することができる。2人にはアメリカで起きた犯罪と同じ水準の補償を受ける権利がある」としています。
原告のうち、田中さんは「今回の訴訟がいずれ日本の遅れている法制度や人権意識を変えていくきっかけになれれば」とコメントしています。
この問題をめぐっては、被害者への補償交渉を続けている「SMILE-UP.」が12月13日、ホームページ上で、被害の申告があった人のうち、これまでに530人に補償金を支払ったとしています。
SMILE-UP.「補償の公平性にも配慮しながら全力で取り組む」
ジャニーズ事務所から社名を変更した「SMILE-UP.」は「今回、米国で訴訟を提起されたと報じられている方々は、従前、日本国内にお住まいであり、米国の裁判所には管轄は認められないものと考えております。弊社は、米国の弁護士にも相談しながら、今後の対応を進めてまいります。これまでも、被害にあわれた方々に真摯に向き合い、迅速かつ適切な被害救済に努めてまいりました。引き続き、補償の公平性にも配慮しながら全力で取り組んでまいります」などとコメントしています。
STARTO ENTERTAINMENT「訴状が届き次第 然るべき対応」
旧事務所から移籍したタレントのマネージメントなどを行っている「STARTO ENTERTAINMENT」は「当社はSMILE-UP.とは資本関係を有せず、また経営も分離した全く別の法人として設立されました。米国における約465億円の賠償を求める訴えについては当社は無関係の立場にあり、本件について提訴される理由がないため、大変困惑しております。訴状が届き次第、事実関係を確認の上で然るべき対応をいたします」などとコメントしています。