亡くなった野崎幸助さん(右)と須藤早貴被告(画像は一部加工=18年2月)
2018年に「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家野崎幸助さん=当時(77)=を殺害したとして起訴された元妻須藤早貴被告(28)が、別の男性から現金をだまし取ったとする詐欺罪の判決で和歌山地裁(福島恵子裁判長)は2日、懲役3年6月(求刑懲役4年6月)を言い渡した。
詐欺事件の公判で検察側は、当時美容専門学校に通いながらキャバクラに勤務していた被告が、客だった男性と知り合い詐欺を企てたと指摘。「美容コンクールの審査をしていた社長から留学の話を受けた」などと説明し現金をだまし取り、海外旅行代金に充てたとした。
被告は「金を受け取ったことは事実だが、私の体をもてあそぶために金を払った」などと主張していた。
起訴状によると、被告は15年3月~16年1月に札幌市の男性=当時(61)=から海外留学の準備金などの名目で現金計約2980万円をだまし取ったとしている。野崎さんには18年5月に致死量の覚醒剤を摂取させて殺害したとされる。
起訴状によりますと2016年、須藤早貴被告(当時19歳)は札幌市内の男性(当時61歳)から、海外留学の準備金名目などで、約3000万円をだまし取った罪に問われています。
争点は、詐欺罪を成立させるポイント=「欺いていたか」という点。これまでの裁判で、両者の主張は対立しています。
◆須藤被告「私が詐欺師なら、被害者は性犯罪者だ」
須藤被告は「これだけのお金を受け取ったのは事実で、嘘も反省しているんですけど、ベースは愛人。私が詐欺師なら、被害者は性犯罪者だと思っている」と話しました。さらに、男性がお金を払ったのは「全面的に私の話を信じていたわけではない」とし、体を触る対価や口止め料として払っていたと主張しました。
一方、検察側は「被告の発言で被害男性が錯誤に陥り、金を振り込んだ」と指摘しています。
被害男性も証人として出廷し、「(須藤被告と)誕生日が同じで運命を感じていた。美容師になりたい、という早貴の夢を応援していた。嘘だと知っていたらお金を支払わなかった」などと主張してきました。
◆法廷では、髪をかきあげて独特の”雰囲気”を醸し出し
これまでの裁判で、須藤被告は毎回同様の黒のワンピース姿。へそのあたりまで伸びた髪をおろした状態で、法廷に姿を現しました。
被告人質問では証言台に立ち、話す前に一呼吸置き、髪をかきあげて独特の”雰囲気”を醸し出し、男性との出会いから関係性まで、淡々と赤裸々に語っていました。
二人の関係は、はじめは、須藤被告が働いていたキャバクラで出会った「ホステスと客」。店を辞めた後は週1回ほど会って、定期的に月20万円もらうほか、会うたびに小遣い10万円などをもらう「愛人関係」だったと言います。
今年7月の裁判で、検察側は懲役4年6か月を求刑。きょう2日の裁判で、須藤被告に判決が言い渡される予定です。
いっぽう、事件発生から6年、野崎幸助さんに対する殺人などの罪に問われる裁判員裁判は、今月12日に初公判を迎えることが決まっています。
〈おことわり〉