ディズニークルーズが日本でも…料金1人10万~30万円・1250室に4000人収容・劇場やプールも(2024年7月9日『読売新聞』)

 オリエンタルランドは9日、ディズニーの世界観を再現した豪華客船によるクルーズ事業を始めると発表した。約3300億円を投資し、2028年度の運航開始を目指す。テーマパーク、ホテルの主要事業に次ぐ新たな収益の柱に育てたい考えだ。(岡田実優)

クルーズ事業は2028年度の開始を計画する(オリエンタルランド提供)
クルーズ事業は2028年度の開始を計画する(オリエンタルランド提供)

 建造するのは約14万トンの大型客船で、約1250室の客室を備え、約4000人の乗客を収容する予定。船内はディズニーが展開するキャラクターなどをテーマにし、ミュージカルを楽しめる劇場やプールなども備える。船内全体でディズニーの世界観を体感できるのが特徴だ。

[客船で行われるミュージカルのイメージ=オリエンタルランド提供
客船で行われるミュージカルのイメージ=オリエンタルランド提供

 当面は首都圏の港を発着する2~4泊の短期運航とし、料金は1人10万~30万円を想定する。年間40万人の集客で約1000億円の売上高を見込んでおり、将来的には海外への就航も目指すという。

 すでに米国ではディズニークルーズとして1998年に就航しており、高い人気を誇る。現在は5隻の豪華客船を運航し、地中海やカリブ海を巡るクルーズ旅行を行っている。新婚旅行での利用なども多いという。

 オリエンタルランドは今回、日本を拠点とするディズニークルーズの展開を目指し、米ディズニー社とライセンス契約を結んだ。テーマパークのある千葉県浦安市の舞浜エリアには、これ以上の拡張余地がほとんどなくなっている。さらなる成長を目指す上でパーク以外の事業展開が欠かせないと判断したとみられる。

 吉田謙次社長は9日の記者会見で「オリエンタルランドグループのさらなる成長のために、舞浜地区以外での事業を検討してきた」と説明した。

 オリエンタルランドは1983年に東京ディズニーランドを開業後、2001年に東京ディズニーシーをオープンさせた。過去最大規模となる約3200億円を投じ、24年には人気映画をテーマにした新エリア「ファンタジースプリングス」を開業。円安を背景に訪日客の取り込みも進め、23年度の来場者数は2700万人を超えた。

 クルーズ旅行が成長市場となっていることも大きい。国土交通省によると、23年の世界のクルーズ船旅行者数は年間3000万人を超え、27年には4000万人近くまで増加すると予想される。

 吉田氏は「成長が見込まれるクルーズ事業は新規事業として申し分ない分野」とした上で、「テーマパーク、ホテル事業に次ぐ3本目の柱に成長させたい」と強調した。