疑惑相次ぐ東京女子医大 教授ら文科省に「理事会に指導を」申し入れ 「普通の組織ならトップが責任取る」(2024年7月2日『東京新聞』)

 
 同窓会組織による不透明な給与支払いや推薦入試不正などの疑惑が発覚した東京女子医大(東京都新宿区)の教授有志が2日、私立大を所管する文部科学省高等教育局の幹部に面会し、理事会への指導を促した。
 同大を巡っては3月、同窓会組織「至誠会」から勤務実態のない職員に給与が支払われたとする特別背任容疑で、警視庁が大学本部や岩本絹子理事長の自宅などを一斉捜索した。至誠会が大学の推薦入試で推薦者を決める際、会への寄付金を考慮に入れていた疑いなども指摘されている。
文部科学省高等教育局の幹部との面会を終え、報道陣の取材に応じる東京女子医大の教授ら=2日、東京都千代田区で

文部科学省高等教育局の幹部との面会を終え、報道陣の取材に応じる東京女子医大の教授ら=2日、東京都千代田区

 面会後、教授ら6人は報道陣の取材に応じ、心臓血管外科の新浪博教授は「普通の会社組織ならトップが責任を取ることになる」と指摘し、岩本理事長の辞任や理事会の刷新を求めた。これに対し文科省幹部は「大学が設置した第三者委員会の調査結果を待ちたい」などと直接指導には消極的姿勢だったという。
 同大では岩本理事長が人員整理や給与抑制などによるコスト削減を進め、医師や看護師らの大量離職も続いた。消化器肝胆膵(すい)外科の本田五郎教授は、不祥事が続いたことで大学病院への信頼が低下している現状に触れ、「医療現場が萎縮して力を発揮できない状況になっている」と窮状を訴えた。(佐藤航)