「転勤で給与が減ったのは違憲」現職判事が国を提訴(2024年7月2日『産経新聞』)

 
 

名古屋地裁に向かう津地裁の竹内浩史判事(手前左から2人目)と弁護団ら=2日午後

 転勤で地域手当の支給率が下がり給与が減ったのは、裁判官報酬の減額を禁じた憲法80条2項に違反するなどとして、津地裁の竹内浩史判事(61)は2日、国に約240万円の支払いを求め名古屋地裁に提訴した。現職判事が国を相手に訴訟を起こすのは異例。

 名古屋市内で記者会見した竹内氏は「(多くの判事が)大きな被害を受けているにもかかわらず、やむを得ないと受け入れている。地域ごとの支給率の差も不明確で、裁判で緻密に論争したい」と話した。

 訴状などによると、地域手当は、地元企業の給与を基準に支給率が定められ、基本給に上乗せされる。憲法が減額を禁止する裁判官の報酬に当たり、令和3年に名古屋高裁から津地裁に転勤後、3年間で給与が減ったのは憲法違反だと主張。勤務地による不合理な差別に当たり、憲法が保障する法の下の平等にも反するとしている。

竹内氏は、同期の裁判官と比べて不当に昇給を据え置かれる差別を受けているとも主張している。最高裁は「コメントすることは差し控える」とした。