防衛力の強化や少子化対策の拡充など一定の実績を残しているのに、岸田内閣の支持率は20%台で低迷し続けている。どこに問題があるのか。
内外とも問題が山積している今、政局の安定的な運営が何よりも大事だ。首相自身が現状の問題点を自覚し、体制を立て直せるかどうかが問われている。
岸田首相の在職日数は、29日で1000日となった。既に橋本竜太郎氏の932日を抜き、岸信介氏の1241日に次ぐ、戦後8番目の長さだ。
首相は2021年10月の就任以来、難題に取り組んできた。
安全保障環境の悪化を踏まえ、防衛費の大幅な増額を決めた。歴代内閣が「政策判断として持たない」としてきた敵基地攻撃能力についても、保有に 舵かじ を切った。いずれも戦後の安保政策を大きく転換する決断と言える。
にもかかわらず内閣支持率が低迷しているのはなぜか。
官邸主導の政局運営体制が定着したこともあり、首相は、自分が決断すれば党内も行政機関も自然に従うと思い込んでいるのかもしれないが、粘り強い説得で理解を得ていく、という政治の基本を怠れば、物事は円滑に進まない。
首相は、自らの行動の問題点を認識し、誠実に対応すべきだ。
支持率が低迷しているのに「岸田おろし」の動きが鈍いのも、今の政局の一つの特徴だ。強力な野党が存在せず、また、自民党内にも有力な総裁候補がいないという現状は、政治の劣化ぶりを象徴しているように見える。