自民党で加速する岸田離れ、「20人の推薦人集められない」噂 総裁選出馬危機も 安積明子(2024年6月22日『週刊フジ』)

岸田首相(左)を突き放す麻生氏の動向が注目されている

自民党麻生派斎藤洋明元総務政務官が16日、新潟県新発田市で開いた政治資金パーティーで、岸田文雄首相の退陣を暗に求めた。

来賓として講演した派閥領袖(りょうしゅう)の麻生太郎副総裁も、政治資金規正法改正に触れ、「将来に禍根を残す改革だけはやっちゃいかん」と、岸田首相に苦言を呈した。

2021年の総裁選で岸田首相を支持した麻生派だが、「岸田離れ」が深刻だ。

イタリアで行われたG7(先進7カ国)首脳会議を前に、岸田首相は麻生氏を食事に誘ったが、麻生氏はそれに応じなかった。そして、岸田首相が国内不在のなか、まるで見せつけるかのように、総裁選出馬に意欲満々の茂木敏充幹事長と会食した。

麻生氏が怒る原因は、岸田首相の〝暴走〟だ。今年1月、何の相談も根回しもなく派閥解消を宣言した。規正法改正案でも、麻生氏らの反対を押し切り、政治資金パーティー券購入者の公開基準額を「5万円超」とする公明党の主張を受け入れた。

1度ならず、2度も恥をかかされたのだから、許せるはずがない。

「岸田首相は次期総裁選で、20人の推薦人を集められない」

永田町でこんな噂が流れるのも、岸田首相と麻生氏に生じた〝溝〟を見て取ってのことだろうか。

岸田首相が、地方組織の声を聴くとして主導した「政治刷新車座対話」では、厳しい批判が相次いでいる。5月21日、横浜市で開かれた車座対話では、あまりに厳しい政権批判が続出したため、平井卓也広報本部長がうっかり、「(9月の総裁選で)リセットできる」と発言する始末。だが、これは本音に違いない。

同じ思いを抱くのが公明党だろう。石井啓一幹事長は3月、BSテレ東の番組で、「(新たに)選ばれた総裁は非常に支持率が高くなる」と発言して物議をかもした。

後に、石井氏は「一般的な感覚を申し上げた」と、〝ポスト岸田〟の意図を否定したが、ある公明党関係者は、こう打ち明ける。

「来年7月には、参院選と都議選がある。衆院選を行うなら、年内が望ましい。しかし、岸田首相の下で衆院選は戦えない。次期総裁選では、岸田首相以外が選ばれるべきだ」

まさに四面楚歌(そか)だが、時事通信が6月13日に公表した内閣支持率は16・4%と、2012年に自民党が政権を奪還して以来、最低となった。解散・総選挙に踏み切るわけにはいかないだろう。

岸田政権と距離を置く非主流派の動きも気になる。東京都内で7日、菅義偉前首相、萩生田光一政調会長加藤勝信官房長官武田良太総務相小泉進次郎環境相が会食している。

通常国会は23日で閉会する。永田町はいよいよ、9月の総裁選を目指して動き出す。そもそも、岸田首相は出馬できるのか、否か。(政治ジャーナリスト・安積明子)

 
「再選などと軽々しく…」自民の若手議員、首相に総裁選不出馬を要求(2024年6月22日『毎日新聞』)
 
自民党の会合であいさつする茂木幹事長=22日午後、北海道旭川市

 自民党茂木派の東国幹衆院議員(北海道6区)は22日、北海道旭川市での党会合であいさつし、9月の党総裁選で再選を目指す岸田文雄首相に立候補しないよう求めた。派閥裏金事件への政権の対応に批判が集まっていることを念頭に「この半年、1年を顧みればゆめゆめ再選などと軽々しく口にせず、思いとどまってほしい」と述べた。党内では地方組織に続き、国会議員からも公然と首相の退陣論が出始め、苦境が鮮明になった形だ。

 東氏は当選1回の若手。総裁選に関し「自民はまだまだ人材が豊富だ。国民の信頼回復のため、新しい門出が求められる」と強調した。首相に対し「むしろ新しい扉を開く橋渡し役を担ってほしい」と促した。(共同)

 

自民若手議員が岸田首相総裁選不出馬論 「ゆめゆめ再選などと口にせず新しい扉への橋渡し役を」(2024年6月22日『FNNプライムニュース』)