国際親善のためイギリスを公式訪問している天皇陛下は、ロンドン郊外のウィンザー城にあるイギリス王室の墓所を訪ねて、エリザベス女王と夫のフィリップ殿下の墓に花を供えられました。
天皇陛下は、記者団からどのような気持ちで参拝したのか尋ねられ、「今までのいろいろお世話になったこと、本当に良くしていただいたことに対する心からのお礼の気持ちできょうは参拝をさせて頂きました」と話されました。
「キュー植物園」とは
また、「ミレニアムシードバンク」と呼ばれる大規模な研究施設では、世界97か国から集めた24億種を超える植物の種が保存されています。
皇室とのゆかりが深く、昭和46年には、天皇として初めてイギリスを訪問した昭和天皇が香淳皇后とともにこの植物園を訪ねました。
当時はまだ日本に対する厳しい国民感情が残っていて、昭和天皇が記念に植樹したスギが翌日切り倒される事件が起きました。
この4年後の昭和51年には、当時皇太子夫妻だった上皇ご夫妻が国際親善のためイギリスを訪問し、この植物園にある日本とイギリスの友好親善のシンボルとしてつくられた枯れ山水の日本庭園にヒノキを植樹されました。
即位後、国賓として訪問した平成10年には、再びこの植物園を訪ねて現地の若者たちと懇談されました。
天皇陛下も、イギリス滞在中にこの植物園をよく訪れたということで、平成13年の訪問の際にも園内の日本庭園を視察されています。
天皇陛下「非常に温かく迎えていただき大変うれしい」
国賓としての公式日程を終えた天皇陛下は、視察先のキュー植物園で記者団の取材に応じ、「イギリス政府からご招待をいただき雅子とともにイギリスを国賓として訪問することができましたことを、大変うれしく思っております。チャールズ国王陛下、そしてカミラ王妃陛下には、歓迎式典、また馬車によるパレード、そしてバッキンガム宮殿における午餐会、夕食会を催していただき、大変心温まるひとときを過ごさせていただいたことを大変ありがたく思っております」と話されました。
そのうえで、これまでのイギリス滞在を振り返って、「本当に多くの方々から、大変温かいことばをかけていただき、非常におもてなしをいただいたことを大変うれしく思っております。馬車でのパレードの時もそうでしたし、また車で走っている時にも、沿道から多くの方々に手を振っていただいたりして、非常に温かく迎えていただいていることを大変うれしく思っております」と述べられました。
さらに、晩さん会のスピーチの冒頭でチャールズ国王から「英国にお帰りなさい」と語りかけられたことについて尋ねられ、「歴史あるロンドンの建物の荘重なたたずまい、それからテムズ川、そういったものを眺めながら、やっぱり思い出の地に戻ってきたという印象を強く持ちましたし、そのような中で、本当にお帰りなさいというふうに言っていただいた、ウェルカムバックというようなことを多くの方から言っていただいたこと、本当に私はうれしかったですし、その思い出の地に、今回、雅子にとってもこのイギリスは思い出の地ですので、2人でもって立つことができた、これは大変幸せなことだというふうに思っています」と語られました。
そして、ウイリアム皇太子など国王夫妻以外のイギリス王室のメンバーとも再会できたことに触れ、「以前からいろいろ存じ上げていたみなさんと、またこの機会に、旧交を温めることができたことを大変うれしく思っております。いずれにしても、イギリスで本当に多くの方々から温かく迎えて頂いたことを大変うれしく思っておりますし、今回の私たち2人の国賓としての訪問が今後の日本・イギリス両国の友好親善に貢献することを心から願っております」と話されました。