在沖縄米軍の25歳兵長、16歳未満の少女への不同意性交罪で起訴…県の照会まで外務省は伝えず(2024年6月26日『読売新聞』)

 沖縄県内で16歳未満の少女を誘拐して性的暴行を加えたとして、那覇地検が在沖縄米空軍の兵長の男(25)を不同意性交とわいせつ誘拐の罪で起訴していたことが分かった。起訴は3月27日付。地検は公判への影響を理由に認否を明らかにしていない。
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 起訴状などによると、男は昨年12月24日夕、わいせつ目的で県内の公園に1人でいた少女に「寒いから、車の中で話さない?」などと声をかけて乗用車で連れ去り、基地外の自宅に連れ込んだ。その後、16歳未満と知りながら下半身を触るなどの暴行を加えたとしている。同日は公務外だったという。
 捜査関係者によると、少女の関係者から当日110番があり、県警は防犯カメラ映像や少女の証言をもとに捜査。米軍の協力を得て被告を特定し、任意で出頭して調べに応じた被告を今年3月11日に那覇地検書類送検した。地検が同27日に在宅起訴した後、那覇地裁が勾留手続きを取り、日本側に身柄が引き渡された。同地裁で7月12日、裁判員裁判の初公判が開かれる。
 林官房長官は25日の記者会見で「極めて遺憾だ」と述べ、地検が起訴した3月27日に外務省を通じてラーム・エマニュエル駐日米大使に綱紀粛正と再発防止の徹底を申し入れたことを明らかにした。
 一方、玉城デニー知事は25日夕、県庁で報道陣の取材に「県民に強い不安を与え、女性の尊厳を踏みにじるものだ。強い憤りを禁じ得ない」と述べ、米軍に抗議する考えを示した。また、県が同日問い合わせるまで事件の情報を伝えなかった外務省に対し、「著しく不信を招くものだ」と不快感をあらわにした。
米軍関係者による性犯罪、国際問題に発展
 沖縄県では米軍関係者による性犯罪が繰り返され、国際問題に発展してきた。
 1995年、米兵3人が沖縄本島北部で買い物帰りの小学生女児を車で連れ去り暴行する事件が起きた。米側が日米地位協定を盾に起訴前の身柄引き渡しを拒み、抗議の県民大会で反基地感情が一気に高まり、日米両政府が米軍普天間飛行場宜野湾市)の返還に合意する契機となった。
 2016年には、米軍属の男がうるま市でウォーキング中の女性会社員(当時20歳)を襲い、ナイフで首付近を刺すなどして殺害。男は殺人、強姦(ごうかん)致死罪などで無期懲役が確定している。
 

【経過表】沖縄の米兵、少女への不同意性交罪で起訴 わいせつ目的誘拐罪も 外務省、3カ月県に連絡せず(2024年6月26日『琉球新報』)
 
 2023年12月、県内に住む16歳未満の少女を車で自宅に連れ去り、同意なくわいせつな行為をしたなどとしてわいせつ誘拐、不同意性交の罪で、米国籍で米空軍兵長の男(25)を那覇地検が起訴していたことが25日、分かった。地検や県警への取材で判明した。
 外務省は起訴を把握しながら約3カ月、県側に伝えていなかった。玉城デニー知事は同日、事件の発生に「女性の尊厳を踏みにじるものだ」と強い憤りを示した上で、外務省の対応を「著しく不信を招くものでしかない」と批判した。起訴は3月27日付。
 県警が米側の捜査機関と連携して捜査し、3月11日にわいせつ誘拐と不同意性交の両容疑で在宅で書類送検した。地検が同27日に両罪で起訴し、被告の米兵の身柄を拘束した。複数の関係者によると、米兵は米軍嘉手納基地所属とみられる。
 県警と地検は、米兵が7月12日に那覇地裁での初公判を控えていることを理由に認否を明らかにしていない。一方、捜査関係者によると、調べに性的な行為をしたことを認めているという。
 県警と地検は事案について県には通知していなかった。外務省によると、同省が事案を把握したのは地検の起訴前で、起訴当日に同省はエマニュエル駐日米大使に抗議した。外務省は県に情報を共有していなかった。
 地検は那覇地裁が初公判の期日を設定後に報道陣の要請を受けて起訴状を交付し、事件が明らかになった。
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 起訴状によると被告の米兵は23年12月24日、本島中部の公園で少女を「寒いから、車の中で話さない」などと自身の車に誘い込んだ。車内で「一回、自分の家、見てみる」などと述べるなどしてわいせつの目的で自宅まで誘拐した。少女が16歳未満であることを知りながら、暴行を加えて同意のない性交に及んだとしている。
 県警と地検によると、23年12月24日、帰宅した少女から事情を聞いた少女の関係者が110番通報した。少女と男に面識はなく、少女にけがはない。

米兵、16歳未満の少女に性的暴行 那覇地検、不同意性交罪で起訴 本島公園で誘拐か(2024年6月26日『沖縄タイムス』)
 
 昨年12月、本島中部で16歳未満の少女を車で誘拐して自宅に連れ去り、同意なく性的暴行を加えたとして、那覇地検が嘉手納基地所属の米空軍兵長の被告(25)をわいせつ目的誘拐と不同意性交の罪で、3月27日付で起訴していたことが分かった。日米地位協定に基づき、身柄は起訴後に日本側へ引き渡された。3月の起訴時点で事件を把握していた政府は米側に抗議を済ませた一方、県には25日に報道があるまで知らされていなかったことも明らかになった。
 起訴状や県警によると昨年12月24日、被告は本島中部の公園で初対面の少女に「寒いから車の中で話そう」などと声をかけて車に乗せ、基地外の自宅に連れ去り、16歳未満と知りながら性的暴行を加えたとされる。地検は公判に支障があるとして、被告の認否を明らかにしていない。